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財務・会計 / 財務諸表の基礎財務
財務諸表の基礎 3/5 / 約5分

CF計算書 — 利益を「現金の言葉」に翻訳します

P/Lでは500万円の黒字なのに、通帳の残高は増えていない——経営分析のCCCで見た「黒字なのに苦しい」の正体を、決算書の側から可視化するのがキャッシュフロー計算書です。

問いはひとつ。利益と現金は、どこでズレたのか。ズレを1項目ずつ翻訳し直す手続が「間接法」で、試験は毎年ここを突いてきます。

この5分の問い

利益が出ているのに現金が増えないのはなぜで、そのズレはどう計算すれば追えるのでしょうか。

直感でつかむ

もらっていない売上は引く、現金の出ない経費は足し戻します

ズレの正体は2種類だけです。第一に、売上に計上したのに現金をまだもらっていない分——売掛金が増えた分だけ、利益は現金より膨らんで見えます。だから引く。在庫(棚卸資産)が増えた分も、現金が商品に姿を変えて寝ているので引く。逆に買掛金が増えた分は、払うべき現金をまだ払っていないので足す。

第二に、費用に計上したのに現金が出ていない分——代表が減価償却費です(投資の意思決定で学んだ「現金の出ない経費」)。利益からは引かれていますが現金は減っていないので、まるごと足し戻します。

間接法の合言葉利益を現金に翻訳:もらってない売上は引く、現金の出ない経費は足し戻す
厳密に見る

3区分の地図を持ってから、営業CFを1本計算します

CF計算書は現金の動きを3つに区分します。営業活動CF(本業の現金収支)・投資活動CF(設備や有価証券の取得・売却)・財務活動CF(借入・返済・増資・配当)。営業CFと投資CFの合計はフリー・キャッシュフロー(FCF)と呼ばれ、DCF法で会社の値付けに使った、あのFCFです。

間接法の営業CFを通しで計算します。当期純利益500万円・減価償却費200万円・売上債権600→800万円(+200)・棚卸資産500→400万円(−100)・仕入債務200→300万円(+100)なら——

営業CF=500+200(足し戻し)−200(売上債権の増加)+100(棚卸資産の減少)+100(仕入債務の増加)=700万円

符号の型はこうです。資産(売上債権・棚卸資産)の増加はマイナス、負債(仕入債務)の増加はプラス。減少なら逆。経営分析の運転資本・CCCと同じ力学が、ここでは符号として現れます。

結論が反転する分かれ目
資産の増加
売上債権・棚卸資産が増える
現金が売掛金や在庫に姿を変えて寝る → 営業CFはマイナス調整
負債の増加
仕入債務が増える
払うべき現金をまだ払っていない → 営業CFはプラス調整
分かれ目 「資産の増加はマイナス、負債の増加はプラス」。この対称を崩す肢が毎年並びます。
ここで間違える

「売上債権の増加を足す」——符号の反転が最頻出です

間接法の誤り肢は符号に集中します。売上債権の増加を加算する(正しくは減算)、仕入債務の増加を減算する(正しくは加算)、そして減価償却費を「現金流出を伴う費用」として調整しない——3点セットで並びます。迷ったら翻訳の原則に戻ってください。現金をもらっていないのに利益に入っている→引く。現金を払っていないのに費用に入っている→足す。

区分のすり替えにも注意です。借入金の返済や配当の支払いは財務活動CF、設備の売却収入は投資活動CF。営業CFに混ぜる肢が定番です。

実務では

「利益は出てるのに、なんで金がないんだ」。この相談への答えは、間接法の調整項目そのものです。売掛金が200万円増えていれば「そのお金はまだお客さまの財布の中です」と言える。決算書のCF計算書を上から指でなぞりながら説明できると、社長の腹落ちがまるで違います。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。利益と現金のズレは「もらっていない売上(資産の増加)」と「現金の出ない経費(減価償却費)」が作り、間接法は利益にその翻訳を1項目ずつ当てて営業CFへ直します。資産の増加はマイナス・負債の増加はプラス。次のユニットは、その「現金の出ない経費」の本体——減価償却の計算方法です。