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財務・会計 / 財務諸表の基礎財務
財務諸表の基礎 4/5 / 約5分

減価償却 — 毎年同じ額で刻むか、新車の値落ちのように減らすか

300万円の配達用バンを買った年に、300万円をまるごと費用にしたら、その年だけ大赤字で翌年から費用ゼロ——実力と関係なく利益が暴れてしまいます。6年使うなら、6年に分けて費用化するのが公平です。

この「分け方」が減価償却で、方式は大きく2つ。毎年同じ額で刻むか、最初に大きく減らすか、です。

この5分の問い

固定資産の取得原価は、定額法と定率法でそれぞれどう配分するのでしょうか。

直感でつかむ

定額法は毎年同じ、定率法は「新車の値落ち」型です

定額法は、使う年数で均等割りする方式です。毎年同じ額が費用になるので、利益が読みやすい。定率法は、期首の帳簿価額(まだ費用化していない残り)に毎年同じを掛ける方式です。残りが大きい初年度ほど償却費が大きく、年々小さくなる——新車の値下がりが最初に大きいのと同じカーブを描きます。

どちらの方式でも、耐用年数の合計で費用化される総額は同じです。違うのは配分のカーブだけ。初期に費用を厚くしたい(=初期の税負担を軽くしたい)なら定率法が有利に働きます。

償却の合言葉定額法=毎年同じ額、定率法=期首帳簿価額×率で最初に大きく
厳密に見る

式を2本と、率の作り方を1つ持ち帰ります

公式定額法=(取得原価−残存価額)÷耐用年数 / 定率法=期首帳簿価額×償却率

定額法を数値で。取得原価660万円・残存価額60万円・耐用年数6年なら、(660−60)÷6=毎年100万円です(残存価額は問題文の指示に従います)。

定率法は率の作り方が急所です。税法上の定率法は現在200%定率法——償却率=定額法の償却率(1÷耐用年数)×2=2÷耐用年数を用います(平成24年4月1日以後に取得した資産)。耐用年数8年なら償却率=2÷8=0.25。期首帳簿価額400万円なら初年度100万円、2年目は(400−100)×0.25=75万円、と逓減します。なお、期首帳簿価額×償却率で計算した額(調整前償却額)が一定の保証額(取得価額×保証率)を下回った年からは、以後の各年で均等額を償却する方式に切り替わります(詳細は出題されても選択肢レベルです)。

結論が反転する分かれ目
定額法
(取得原価−残存価額)÷耐用年数
毎年同じ額。利益が読みやすい
定率法
期首帳簿価額×償却率
最初に大きく年々逓減。200%定率法の率=2÷耐用年数
分かれ目 掛け算の相手が違います。定率法は「残り」に率を掛けるから逓減する——取得原価に掛け続ける肢は誤りです。
ここで間違える

定率法の率を「1÷耐用年数」で作らせる罠があります

200%定率法の償却率は2÷耐用年数。これを1÷耐用年数(定額法の率のまま)で計算させる肢が定番です。耐用年数8年なら0.25と0.125——初年度の償却費が2倍違うので、選択肢の数字もきれいに割れます。「200%=定額法の率の2倍」と名前ごと覚えるのが早道です。

もう1つは掛ける相手です。定率法で掛けるのは期首帳簿価額(残り)であって、取得原価ではありません。2年目以降に取得原価×率で計算し続ける誤りは、逓減しない不自然な数列になるので、検算でも気づけます。

実務では

「設備投資すると、税金はどれくらい変わるの?」。投資の意思決定で学んだタックスシールド(減価償却費×税率)の大きさは、償却方法の選択で初期配分が変わります。初期に厚く償却できる定率法はキャッシュフローの面で有利に働きやすい——投資計画書の償却方法欄は、この理屈で読みます。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。定額法は(取得原価−残存価額)÷耐用年数で毎年同じ額、定率法は期首帳簿価額×償却率(200%定率法なら2÷耐用年数)で最初に大きく。合計は同じで、カーブだけが違います。最後のユニットは在庫の側の「原価の決め方」——棚卸資産の評価方法です。