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財務・会計 / 経営分析経営
経営分析 3/5 / 約5分

CCC — 入金日と支払日の綱引きを、日数で測ります

黒字なのに資金繰りが苦しい会社があります。からくりは単純で、払う日が先に来て、入る日が後に来るからです。材料代は今月払うのに、売った代金は再来月に入る——その間の穴は、手元のお金で埋めるしかありません。

この「穴の長さ」を日数で測る物差しがあります。部品は3つの回転期間、式は足し算と引き算だけです。

この5分の問い

お金が寝ている長さ——仕入から回収までの資金繰りの穴——は、どうやって日数で測るのでしょうか。

直感でつかむ

在庫の日数と回収の日数を足し、支払いまでの日数を引きます

商売のお金の流れを日数で追います。仕入れた品物が売れるまで在庫として寝る日数。売ってから代金が入るまで売掛金として寝る日数。一方で、仕入代金は買った日にすぐ払うわけではなく、支払いまで待ってもらえる日数があります。

寝る日数(在庫+回収)から、待ってもらえる日数(支払い)を引いた残りが、自分のお金で埋める穴の長さです。これをCCC(現金転換サイクル)と呼びます。在庫10日・回収20日・支払い30日なら、CCC=20+10−30=0日。支払う前に現金が入る、資金繰りの理想形です。

CCCの合言葉CCC=回収+在庫−支払い。短いほど、自分のお金で埋める穴が小さい
厳密に見る

3つの回転期間は「残高÷フロー×365日」で求めます

各日数は、B/Sの残高を年間のフローで割って365日を掛けると出ます。売上債権回転期間=売上債権÷売上高×365日。棚卸資産回転期間と仕入債務回転期間は、売上原価を分母にする基準と売上高を分母にする基準の両方があり、試験では問題文の指示に従います(本ユニットでは指定がなければ売上原価基準に立ちます)。

公式CCC=売上債権回転期間+棚卸資産回転期間−仕入債務回転期間

数値例です。売上債権200万円・売上高3,650万円なら、売上債権回転期間=200÷3,650×365=20日。仕入債務回転期間だけは向きが逆で、長いほど支払いを待ってもらえている=資金繰りに有利です。だから式では引き算側に立ちます。

なお、回転「率」(売上高÷総資産など、年に何回転か)と回転「期間」(何日分か)は裏返しの関係です。回転率が高いほど、回転期間は短くなります。

結論が反転する分かれ目
売上債権
回収を待つ側
長いほどお金が寝る=不利。CCCでは足し算側
仕入債務
支払いを待ってもらう側
長いほど資金繰りに有利。CCCでは引き算側
分かれ目 同じ「回転期間が長い」でも向きが逆。誰が誰を待たせているかで、有利・不利が反転します。
ここで間違える

CCCがマイナス=異常値、と判定させる罠があります

CCCがマイナスの会社を「計算ミスか異常な状態」と評価する選択肢は誤りです。マイナスは仕入代金を払う前に売上の現金が入る状態——前払いで売って後払いで仕入れる商売(会員制や一部の小売など)で実際に起こる、資金繰り上むしろ理想的な姿です。

もう1つは符号の混乱です。仕入債務回転期間が「長い」ことをそのまま「悪い」と読ませる選択肢——支払いが遅いのは取引先との力関係の範囲なら資金繰りに有利であり、CCCの式でも引き算側です。3部品のうち、これだけ向きが逆だと覚えます。

実務では

「売上は伸びてるのに、月末の支払いがいつも綱渡りで」。この相談で最初に描くのは、入金日と支払日のカレンダーです。CCCが60日なら、売上2か月分の運転資金が常に寝ている計算になります。回収サイトの短縮・在庫圧縮・支払サイトの交渉——打ち手が3部品のどれに効くかまで、この式1本で説明できます。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。資金繰りの穴の長さ=CCC=回収+在庫−支払い。黒字倒産の正体は、この日数が長いまま売上だけが膨らむことです。次のユニットでは、穴を埋める体力そのもの——支払能力の指標(流動比率・自己資本比率)——を測ります。