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経済学・経済政策 / 経済学の仕上げ経済
経済学の仕上げ 5/6 / 約5分

市場の形 — ラーメン屋街の儲けは、長期には薄まって消えます

コンビニの水(どこで買っても同じ)、ラーメン屋街(似ているが味が違う)、携帯キャリア(3社のにらみ合い)、町で唯一のガソリンスタンド(独占)。市場には「形」があり、形が価格の決まり方を決めます。

独占はすでに学びました。今日は残りの3つ——完全競争の長期、独占的競争、寡占——を1枚に整理します。

この5分の問い

完全競争の長期均衡では何が起き、独占的競争と寡占はそれぞれどんな価格帰結を生むのでしょうか。

直感でつかむ

儲けが見えれば新規参入——長期の超過利潤はゼロに向かいます

完全競争(多数・同質・完全情報・参入退出自由)の長期は、この4条件の帰結です。超過利潤が出れば新規参入→価格下落→利潤消滅。損失なら退出→価格上昇→回復。行き着く先はP=MC=ACの最低点、超過利潤ゼロ・最も効率的な規模での生産です。

独占的競争(ラーメン屋街)は、差別化のおかげで各店に少し値付けの自由があります(右下がりの個別需要曲線)。短期は独占のように儲けられますが、参入は自由——儲かる街には新店が現れ、長期にはP=ACで超過利潤ゼロ。ただしP>MCのままで、最も効率的な規模より小さい生産にとどまります(過剰設備)。

市場の形の合言葉参入自由なら長期の超過利潤はゼロ。完全競争はP=MC=AC最低点、独占的競争はP=ACだがP>MC
厳密に見る

寡占——にらみ合いの帰結は「何で競うか」で変わります

少数企業のにらみ合い(寡占)は、競争の変数で帰結が分かれます。クールノー競争(数量で競う):各社が相手の生産量を所与として自分の量を決め、反応曲線の交点で均衡。企業数が増えるほど完全競争に近づきます。ベルトラン競争(価格で競う):同質財なら価格の下げ合いがP=MCまで行き着き、2社でも完全競争と同じ帰結——「たった2社でも価格競争なら儲からない」が有名な結論です。

屈折需要曲線は寡占価格の硬直性の説明です。自社の値上げには他社は追随せず(客を奪われる)、値下げには追随する(客を守る)——需要曲線が現在価格で折れ曲がり、コストが多少動いても価格が変わりにくくなります。

結論が反転する分かれ目
完全競争
P=MC=ACの最低点
超過利潤ゼロ・最も効率的な規模。同質財
独占的競争
P=AC・ただしP>MC
超過利潤ゼロだが過剰設備が残る。差別化財(ラーメン屋街)
分かれ目 どちらも長期利潤ゼロ——違いは効率性。独占的競争にP=MCを言わせる肢が定番の罠です。
ここで間違える

独占的競争の長期を「P=MC」と言わせる肢が定番です

独占的競争の長期均衡はP=AC(超過利潤ゼロ)だがP>MC——「P=MCが成立し効率的な資源配分が実現する」とする肢は誤りです。差別化の対価として、社会は少しの非効率(過剰設備)を抱えます。

寡占側は競争変数のすり替えに注意——「ベルトラン競争では少数ゆえ高価格が維持される」は誤り(同質財ならP=MCまで下がる)。数量競争か価格競争かで結論が正反対になります。

実務では

「うちの業界、参入が増えて利益が年々薄くなってる」。それは独占的競争の長期均衡へ向かう自然な重力です。対抗手段は理論が示しています——差別化を深めて「自分だけの需要曲線」を立てるか、参入障壁(ブランド・立地・切替コスト)を築くか。市場の形の語彙は、競争戦略の議論(経営理論のポーターへ続く入口)です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。参入が自由なら長期の超過利潤はゼロへ——完全競争はP=MC=AC最低点で効率的、独占的競争はP=ACでもP>MCの過剰設備、寡占は数量競争(クールノー)か価格競争(ベルトラン=P=MC)かで帰結が変わります。これで経済学は主要論点を走り切りました——ミクロの価格理論からマクロの政策、行動経済学まで、通しでドリルすれば得点の柱が立ちます。