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経済学・経済政策 / 経済学の仕上げ経済
経済学の仕上げ 6/6 / 約5分

ソロー・モデル — 機械を増やすだけの成長は、いずれ頭打ちになります

経済を成長させるものは3つしかありません。貯蓄して機械や工場に投資する。働き手が増える。技術が進歩する。——では、貯蓄率をどんどん上げれば、経済は永遠に速く成長できるのでしょうか。

ソロー・モデルの答えは「できない」。機械を増やすだけの成長はいずれ頭打ちになり、最後に残る成長の源泉はただひとつです。

この5分の問い

資本蓄積による成長はなぜ頭打ちになり、持続的な成長の源泉は何なのでしょうか。

直感でつかむ

機械の増加はいずれ「摩耗と人口増」に食われます

機械が増えれば生産は増えます。しかし限界生産力は逓減——10台目の機械がもたらす増産は、1台目よりずっと小さい。一方で、機械は摩耗し(資本減耗)、働き手が増えれば1人あたりの機械は薄まります。

やがて「貯蓄による機械の追加」と「摩耗・人口増による目減り」がちょうど釣り合う定常状態に行き着き、1人あたりの資本と所得は一定になります。そこから先も1人あたり所得を伸ばし続けられるのは技術進歩だけ——これがソロー・モデルの核心です。

ソローの合言葉資本蓄積の成長は定常状態で頭打ち——持続的成長の源泉は技術進歩のみ
厳密に見る

定常状態の式と黄金律・収束仮説まで一気に固めます

1人あたり資本kの動きは Δk=s·f(k)−(n+g+δ)k(s:貯蓄率、n:人口成長率、g:技術進歩率、δ:資本減耗率)。定常状態は流入と流出が釣り合う s·f(k*)=(n+g+δ)k* で決まります。貯蓄率を上げると定常状態の水準は上がりますが(水準効果)、定常状態での成長率は変わりません。

黄金律は「定常状態の消費を最大にする資本水準」——条件は f′(k*)=n+g+δ。貯蓄しすぎ(投資過多)でも、しなさすぎ(資本不足)でも消費は最大になりません。あわせて収束仮説(貧しい国ほど成長率が高く、条件が似た国同士は追いつく——条件付き収束)と、成長会計の残差=ソロー残差(TFP・全要素生産性)も問われます。

結論が反転する分かれ目
貯蓄率の引き上げ
定常状態の水準が上がる
移行の間だけ成長が速まる。新しい定常状態に着けば成長は元のペースへ
技術進歩
成長率そのものを支える
定常状態でも1人あたり所得を伸ばし続ける唯一の源泉
分かれ目 「貯蓄率↑で成長率が上がり続ける」が定番の誤り肢。水準と成長率を分けて答えます。
ここで間違える

「貯蓄率を上げれば成長率が上がり続ける」が最大の誤り肢です

最頻出の誤り肢は「貯蓄率の引き上げにより、長期的な経済成長率を高めることができる」——誤り。貯蓄率の引き上げは定常状態の所得水準を高めるだけで、定常状態に達した後の成長率は技術進歩率で決まります。「水準は上がる・成長率は変わらない」の区別が急所です。

黄金律の取り違えにも注意——最大化するのは生産でも資本でもなく消費です。「生産を最大化する貯蓄率」とする肢が並びます。

実務では

設備投資の相談に、ソローの発想は静かに効きます。「機械を買い足せば売上が伸びる」は最初のうちだけ——限界生産力の逓減は町工場でも起きます。ある水準から先は、設備の追加より工程改善や新技術の導入(生産性=TFPの改善)に投資を振り向ける方が伸びる——「量の投資から質の投資へ」の切り替え時期を見立てるのが診断士の仕事です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。資本蓄積による成長は限界生産力の逓減により定常状態(s·f(k*)=(n+g+δ)k*)で頭打ちになり、持続的な1人あたり成長の源泉は技術進歩だけです(黄金律は消費最大化:f′(k*)=n+g+δ)。——これで経済学・経済政策の収穫候補は完走です。ドリルで仕上げてください。