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財務・会計 / 主要会計基準主要
主要会計基準 3/4 / 約5分

税効果会計 — 会計と税務のズレを「税金の前払い」として持ちます

会計では今期の費用にしたのに、税務署は「まだ損金とは認めない」と言う——貸倒引当金や減損損失で、会計と税務の判定時期はしばしばズレます。ズレた分だけ、今期は税金を「多めに」払うことになります。

ただしこの多払いは、捨て金ではありません。将来ズレが解消するとき、税金が減って返ってくる——その「前払い」を資産として帳簿に持つのが税効果会計です。

この5分の問い

会計上の利益と税務上の課税所得のズレは、どう財務諸表に反映するのでしょうか。

直感でつかむ

「将来税金が減るズレ」は資産、「将来増えるズレ」は負債です

ズレ(一時差異)には向きが2つあります。将来減算一時差異=会計が先に費用にして、税務が後から認めるズレ。将来、損金算入が認められた期に課税所得が減り、税金が減ります。この「減る分の前払い」が繰延税金資産です。

逆に将来加算一時差異=将来の課税所得を増やすズレは、後払いのツケとして繰延税金負債を計上します。金額はどちらも一時差異×実効税率で測ります。

税効果の合言葉将来減算差異→繰延税金資産(税金の前払い)/将来加算差異→繰延税金負債
厳密に見る

「引当金500万円、損金算入は200万円まで」で1回通します

A社が貸倒引当金500万円を費用計上したが、税務上は200万円しか損金算入が認められなかった(実効税率30%)とします。一時差異=500−200=300万円(会計の費用が先行=将来減算一時差異)。繰延税金資産=300×30%=90万円

仕訳は、借方 繰延税金資産90万円/貸方 法人税等調整額90万円。P/L上、この調整額が法人税等の負担を和らげ、会計上の利益と税金費用の対応が整います。

大事な条件を1つ。繰延税金資産は「将来税金を減らせる」ことが前提なので、将来の課税所得が見込めない会社は計上できません(回収可能性の要件)。赤字続きの会社が満額の繰延税金資産を積む——これは認められない、が出題の急所です。

結論が反転する分かれ目
繰延税金資産
将来減算一時差異×実効税率
税金の前払い。回収可能性(将来の課税所得)が計上の条件
繰延税金負債
将来加算一時差異×実効税率
税金の後払いのツケ
分かれ目 「減算→資産・加算→負債」の向き。逆転させる肢と、回収可能性を無視させる肢が2大定番です。
ここで間違える

資産と負債の向きの逆転と、回収可能性の無視が2大手口です

「将来減算一時差異には繰延税金負債を計上する」——向きを逆にした肢が定番です。減算=税金が減る=前払いの資産。「減るのに負債」は日本語として座りが悪い、と語感で覚えてください。

もう1つが回収可能性です。「一時差異があれば、将来の業績見通しにかかわらず繰延税金資産を計上できる」——誤り。将来の課税所得という「返済原資」がなければ、前払いの回収先がありません。

実務では

「うちのB/Sに載ってる繰延税金資産って、何のお金?」。この質問には「将来の税金の割引券です。ただし黒字が続く会社しか使えません」と答えます。業績が傾いた会社で繰延税金資産の取り崩しが起こると、その期の純利益が一気に沈む——決算書を読む場面で、この項目は業績見通しのシグナルとして働きます。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。ズレ(一時差異)×実効税率を、将来減算なら繰延税金資産(前払い)、将来加算なら繰延税金負債(ツケ)として計上し、法人税等調整額で利益と税金の対応を整えます。最後のユニットは、親子の財布をひとつにまとめる連結財務諸表です。