余剰分析 — お得感の三角形を測り、消えた分を死荷重と呼びます
「1,000円までなら出す」と思っていた本が800円で買えたら、200円ぶん得をした気分になります。この「お得感」を全員分集めて三角形の面積で測る——それが余剰分析です。
試験では、ただの三角形の面積計算として出ます。底辺と高さを需給グラフから正しく拾えるか、それだけの勝負です。
消費者余剰・生産者余剰はどう測り、課税や規制で生じる「死荷重」とは何なのでしょうか。
買い手のお得感と売り手の儲け、2つの三角形を足します
消費者余剰(CS)=「払ってもいい額」と実際の価格の差の合計。需要曲線と価格線に挟まれた上の三角形です。生産者余剰(PS)=実際の価格と「作れる費用」の差の合計。価格線と供給曲線に挟まれた下の三角形です。
2つを足した社会的総余剰(CS+PS)は、完全競争の均衡で最大になります。課税や独占、価格規制が入ると取引の一部が消え、その分のお得感が誰の手にも渡らず蒸発します——この消えた三角形が死荷重です。
線形の需給で、面積を1回計算し切ります
需要P=100−Q、供給P=20+Qとします。均衡は100−Q=20+Q → Q=40、P=60です。
CS=(1/2)×底辺40×高さ(100−60)=800。PS=(1/2)×40×(60−20)=800。総余剰=1,600です。
ここに従量税10を課すと、供給はP=30+Qへ上方シフト。新しい取引量は100−Q=30+Q → Q=35(買い手価格65・売り手手取り55)。税収=10×35=350(政府余剰)。消えた取引は40−35=5なので、死荷重=(1/2)×税額10×数量減少5=25。課税前の総余剰1,600は、CS+PS+税収+死荷重に分解され、死荷重25だけ社会全体で目減りします。
「税収も社会の損失に数える」と「三角形の高さの取り違え」が2大事故です
税収は政府の余剰として社会に残るので、社会全体の損失は死荷重だけです。「課税による総余剰の減少=税収+死荷重」とする肢は、政府に渡った分まで消えたことにしています。
面積側の事故は高さの取り違えです。CSの高さは「需要曲線の切片−価格」、死荷重の底辺は「税額」、高さは「数量の減少分」——グラフのどの長さを拾うかを、さきほどの数値例ごと覚えてください。
「補助金や規制の議論って、結局何を測って良し悪しを言ってるの?」。政策ニュースを読む物差しが余剰分析です。誰かの得(CS・PS・税収)と、誰の手にも渡らない蒸発分(死荷重)を分けて数える——この語彙があると、補助金・価格規制・免税の記事を、感想ではなく構造で読めるようになります。
冒頭の問いに答えます。CSは需要曲線と価格の間、PSは価格と供給曲線の間の三角形で、課税や規制で消えた取引のぶんが死荷重(数値例では税10で死荷重25)。次のユニットからマクロへ——政府が使った100万円がGDPをいくら膨らませるか、バケツリレーの乗数理論です。