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経済学・経済政策 / 経済学の土台経済
経済学の土台 1/5 / 約5分

需要と供給 — 値札が動くのは線の上、事情が変わるのは線ごとです

「ガソリンが値上がりしたから、買い控えが起きた」と「所得が増えたから、外食が増えた」。どちらも需要の変化に見えますが、経済学ではまったく別の出来事です。前者は線の上を動いただけ、後者は線そのものが動いた——この区別が、経済学で最も多く出題される弁別です。

あわせて、2本の線の交点(均衡)を連立方程式で解く計算枠も、この科目の得点源です。

この5分の問い

需要曲線・供給曲線はなぜその向きで、「シフト」と「曲線上の移動」はどう区別し、均衡はどう計算するのでしょうか。

直感でつかむ

価格の変化は線の上、価格以外の変化は線ごと動きます

需要曲線が右下がりなのは、価格が下がらないと追加の1個に価値を感じなくなるから(限界効用逓減)。供給曲線が右上がりなのは、高く売れるほど作り手が増産に踏み切れるからです。

区別の型はこうです。その財自身の価格が変わったときは、曲線上を滑って動くだけ(点の移動)。価格以外の事情——所得・好み・原材料コスト・技術——が変わったときは、同じ価格でも買いたい量・売りたい量が変わるので、曲線そのものがシフトします。所得が増えれば需要曲線は右へ、コストが上がれば供給曲線は左(上)へ。

需給の合言葉値札が動くのは線の上、事情が変わるのは線ごと(シフト)
厳密に見る

均衡は連立方程式です。1回解いて型を持ちます

需要関数と供給関数が与えられたら、均衡は「需要量=供給量」の連立で解きます。例:需要 Q=120−2P、供給 Q=−30+3P とします。

120−2P=−30+3P → 150=5P → 均衡価格P=30、均衡数量Q=120−2×30=60。検算:供給側でも −30+3×30=60 で一致します。

この均衡は「売れ残りも品不足もない価格」です。もし政府が上限価格P=20を課すと、需要量=120−40=80に対し供給量=−30+60=30——超過需要50の品不足が起きます。価格が調整弁の役割を奪われると、数量のギャップとして現れる——規制の効果を読む型です。

結論が反転する分かれ目
曲線上の移動
その財自身の価格が変化
線の上を滑るだけ。需要曲線・供給曲線は動かない
シフト
価格以外の要因が変化
所得・好み・コスト・技術など。同じ価格でも量が変わる=線ごと動く
分かれ目 原因が「価格」か「価格以外」か。価格変化をシフトと呼ばせる肢が経済学の最頻出の罠です。
ここで間違える

「価格が下がったので需要曲線が右にシフトした」——最頻出の誤りです

自分の価格の変化をシフトと呼ばせる肢が、この科目の看板の罠です。価格変化は曲線上の移動であって、シフトではありません。シフトを起こせるのは価格以外の要因だけ——問題文の原因が「価格」か「それ以外」かに丸を付けてから肢を読みます。

もう1つはシフトの向きです。原材料コストの上昇は、同じ価格なら供給したい量が減るので供給曲線は左(上)シフト。「コスト上昇→供給曲線が右シフト」と向きを逆にした肢が並びます。

実務では

「値上げしたら客が減った。市場が縮んでるのかな」。この相談の切り分けが、まさに移動とシフトです。自店の値上げによる客離れは曲線上の移動(価格を戻せば戻る)、市場全体の需要減はシフト(価格を戻しても戻らない)。どちらが起きているかで、打ち手は値付けの修正か、商品・販路の転換かに分かれます。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。需要は右下がり・供給は右上がり、価格の変化は線の上・それ以外は線ごと(シフト)、均衡は需要=供給の連立で解く——この3点で需給問題の骨格は閉じます。次のユニットは消費者側の頭の中へ。「限られた小遣いの最も賢い配り方」=効用最大化です。