効用最大化 — 1円あたりの満足度を、財の間で揃えます
ラーメン1杯800円で追加の満足度が80、映画1回1,800円で追加の満足度が90だとします。次の小遣いはどちらに使うべきでしょうか。「映画の方が満足度が大きい」は引っかけです。1円あたりに直すと、ラーメン0.10対映画0.05——ラーメンの圧勝です。
この「1円あたりで比べて、揃うまで配り直す」が効用最大化の全てで、試験ではそれを式と計算で問うてきます。
限られた予算を複数の財に配分するとき、「最も賢い配分」はどんな条件で決まり、どう計算するのでしょうか。
1円あたりの限界効用が等しくなるまで、配分を動かし続けます
ある財の「1円あたりの追加満足度」が他より高いなら、そちらにお金を回せば総満足度は増えます。回し続けると、限界効用逓減(食べるほど1杯の値打ちは下がる)によって差が縮まり、最後はすべての財の1円あたり限界効用が等しくなります。そこが最適——これ以上どう配り直しても満足度は増えません。
グラフで言えば、無差別曲線(同じ満足度の組み合わせをつないだ線)を右上へ押し上げていき、予算制約線にちょうど接する点が最適消費です。接点では「自分の交換比率(限界代替率)=市場の交換比率(価格比)」が成り立ちます。
計算は3手で型化できます。U=xyで1回通します
効用関数U=xy、価格Pₓ=2・P_y=4、所得I=40とします。手順は3手です。
①限界効用を求める:MUₓ=y、MU_y=x(xで微分するとyが残り、yで微分するとxが残る)。②接点条件を立てる:MUₓ/MU_y=Pₓ/P_y → y/x=2/4 → y=x/2。③予算制約に代入:2x+4×(x/2)=40 → 4x=40 → x=10、y=5。
検算:2×10+4×5=40で所得と一致します。この「微分→接点条件→予算に代入」の3手は、効用関数が変わっても崩れない計算の型です。
微分のミスを誘う効用関数が仕掛けられます
U=x²yのような関数では、MUₓ=2xy・MU_y=x²(指数を前に降ろして1つ減らす)が正しい微分です。MUₓ=2xと書かせる肢、x²をそのまま残す肢——偏微分の初歩を突く罠が計算問題の入口に置かれます。①の1手目を雑にすると、以降が全部連鎖して崩れます。
概念側では「価格の高い財ほど多く消費するのが最適」型のすり替えに注意。最適を決めるのは価格の高低ではなく、1円あたりの限界効用の均等です。
「広告費、どの媒体に配分するのが正解?」。効用最大化の発想は、そのまま予算配分の助言に使えます。各媒体の「1円あたりの追加効果」を並べ、高いものに寄せ、逓減してきたら配り直す——限界の発想で語れると、「全部に均等に」でも「一番効く1つに全部」でもない、根拠のある配分案になります。
冒頭の問いに答えます。最適配分の条件はMUₓ/Pₓ=MU_y/P_y(1円あたりの満足度の均等)、計算は「微分→接点条件→予算に代入」の3手です。次のユニットでは、市場全体の「お得感」を三角形の面積で測ります——余剰分析です。