相続 — 遠い血縁と組むほど、配偶者の取り分が増えます
亡くなった人の財産の分け方には、法律のデフォルト値があります——法定相続分。並べてみると規則が見えます:配偶者の取り分は、一緒に相続する相手が子→親→兄弟姉妹と遠くなるほど、1/2→2/3→3/4と増えていく。
家に近い人ほど厚く——この階段と、2019年改正の新顔(配偶者居住権)が試験の的です。
配偶者と他の相続人が組み合わさるとき、法定相続分はどう決まるのでしょうか。
1/2・2/3・3/4——配偶者の階段です
法定相続分(900条)——①配偶者+子:配偶者2分の1・子2分の1(子が複数なら等分)。②配偶者+直系尊属(親など):配偶者3分の2・尊属3分の1。③配偶者+兄弟姉妹:配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1。
相続人の順位も同じ並びです——第1順位が子、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹(配偶者は常に相続人)。上の順位がいれば下には回りません。
2019年改正の3点——住まい・遺言・遺留分です
2018年成立の相続法改正(2019〜2020年に段階施行)も出題されます——①配偶者居住権(1028条以下)の新設=2020年4月施行:自宅の「住む権利」と「所有権」を分け、配偶者が住み続けながら他の財産も受け取りやすくする仕組み。②自筆証書遺言の緩和:財産目録はパソコン作成が可能に(本文は自書のまま)。③遺留分侵害額請求の金銭債権化:遺留分の請求が「物の持分」ではなく金銭の請求に一本化され、不動産や自社株の共有化を避けられるようになりました。
分数の入れ替えと、順位の混同が定番です
定番の誤り肢は分数の入れ替え——「配偶者と直系尊属が相続人のとき、配偶者の相続分は4分の3」(誤り——尊属とは3分の2。4分の3は兄弟姉妹と組むとき)。階段のイメージ(1/2→2/3→3/4)で固定してください。
「兄弟姉妹がいる場合、直系尊属も同時に相続人となる」も誤り——順位制なので、上の順位がいれば下は相続人になりません。
事業承継の最大の地雷は、自社株の相続分散です——法定相続分どおりに株が割れると、経営に関与しない相続人が拒否権的な持分を握りかねない。遺言と遺留分への配慮(金銭債権化された今は資金準備の問題)、生前贈与や種類株式の設計——民法の相続と会社法の道具箱をまたいで初めて絵が描けます。「社長、遺言はありますか」は、診断士が聞いてよい質問です。
冒頭の問いに答えます。法定相続分は配偶者の階段——子と1/2・直系尊属と2/3・兄弟姉妹と3/4(順位制で上がいれば下に回らない)。2018年成立の相続法改正で配偶者居住権(2020年4月施行)・財産目録のパソコン作成・遺留分の金銭債権化(いずれも2019年施行)が加わりました。民法の締めくくりは、2020年改正の本丸——契約不適合責任と定型約款へ。