機関設計 — 会社が大きくなるほど、見張り役が増えます
ひとりで作った会社に必要な機関は株主総会と取締役だけです。会社が大きくなり、株主が増え、他人のお金を預かるほど、見張り役が1枚ずつ増えていきます——取締役会、監査役、そして会計監査人です。
「どの規模・どの公開度で、何が必須になるか」の分岐と、委員会型2種の区別が試験の的です。
会社の規模や公開・非公開の別によって、必要な機関はどう変わるのでしょうか。
最小は総会+取締役。公開と大会社で義務が増えます
すべての株式会社に必須なのは株主総会+取締役(1人以上)だけです。非公開の小さな会社なら、これで完結できます。
公開会社(譲渡自由な株式を発行できる会社)になると取締役会の設置が必須です。株主が入れ替わる前提の会社では経営を機関として組織化する必要があるからです(取締役会を置けば原則として監査役等の監査機関も必要)。大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)になると会計監査人が必須——他人の大きなお金を扱う規模には、職業的専門家の会計チェックを義務づける設計です。
委員会型2種。3委員会の指名委員会等と、1委員会の監査等です
監査役に代わるガバナンスの型が2つあります。指名委員会等設置会社:指名・監査・報酬の3委員会(各委員の過半数は社外取締役)を置き、業務執行は執行役が担う、監督と執行を分離した型。監査等委員会設置会社(2015年施行の改正で創設):監査等委員会1つを取締役会の中に置く、導入しやすい中間形です。上場会社で広く採用されています。
「3委員会+執行役=指名委員会等」「委員会1つで導入しやすい=監査等」。数と執行役の有無で区別します。
大会社の「5億円」を3億円にすり替える肢が定番です
定番の誤り肢が大会社の定義の数値改変です。「資本金3億円以上」(誤り。正しくは5億円。3億円は中小企業基本法の製造業の定義との混同狙い)・「負債100億円以上」(誤り。正しくは200億円)。会社法の5億/200億と、中小企業基本法の資本金基準は別の物差しです。
委員会型では「監査等委員会設置会社には執行役を置く」が誤りです。執行役がいるのは指名委員会等の側。「公開会社=上場会社」も誤りで、定款の譲渡制限の有無で決まる会社法上の概念です。
中小企業の機関設計は「盛りすぎ」の見直しから始まることが多い。平成の商法時代の名残で、実体のない監査役や取締役3人が残る会社は珍しくありません(会社法は非公開会社なら取締役1人+総会まで許容しています)。登記と定款を棚卸しし、司法書士と組んで身の丈に合わせるのは、事業承継の前捌きとして定番の仕事です。
必須は総会+取締役から始まり、公開会社で取締役会が、大会社(資本金5億以上または負債200億以上)で会計監査人が義務になります。見張り役はリスクの大きさに比例します。委員会型は3委員会+執行役の指名委員会等と、導入しやすい監査等委員会の2種。次は見張られる側の任期、役員任期の2年と4年へ。