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経営法務 / 知的財産の土台知的
知的財産の土台 3/5 / 約5分

職務発明 — 社員の発明は、原則として社員のものです

会社の研究員が、勤務時間中に、会社の設備で発明をした——この特許を受ける権利は誰のものか。直感は「会社のもの」と言いたくなりますが、法律の原則は逆です——発明した本人(従業者)のもの

会社が当然に手にするのは「使っていい」権利(通常実施権)だけ。規程を整えて初めて、会社のものにできる——この構造が試験の的です。

この5分の問い

会社員が仕事の中でした発明は、法律上誰に帰属するのでしょうか。

直感でつかむ

原則は従業者帰属——会社は「使える」だけです

職務発明(特許法35条)——従業者がその職務の範囲でした発明は、原則として従業者に帰属します。会社(使用者)は、設備や給与で発明に貢献している——その見返りとして、通常実施権を当然に取得します(無償で「使える」)。でも権利そのものは発明者のもの、が出発点です。

会社が権利を持ちたければ、契約・勤務規則等(職務発明規程)であらかじめ定めます——承継させる(予約承継)か、2015年改正で可能になった最初から使用者帰属とするか。いずれの場合も、従業者には相当の利益(金銭その他の経済上の利益)を与えなければなりません。

職務発明の合言葉原則=従業者帰属・会社は通常実施権を当然取得——規程があれば使用者帰属も可、対価は相当の利益
厳密に見る

2015年改正の意味——「規程整備が前提」を外させない

2015年(平成27年)改正のポイントは、職務発明規程等で定めておけば、特許を受ける権利を発生時から使用者に帰属させられるようになったことです。承継の手続(発明のたびに譲り受ける)を省けて、二重譲渡のリスクも消える——実務上の大きな改善でした。

ただし「当然に会社帰属になった」わけではありません——あくまで規程等の定めがある場合の選択肢です。規程がなければ原則どおり従業者帰属——この「前提の有無」を外した肢が、改正後の定番トラップです。

結論が反転する分かれ目
当然取得(規程不要)
使用者の通常実施権
設備・給与の貢献の見返り。無償で「使える」——それだけ
規程があって初めて
権利の使用者帰属(または承継)
2015年改正で発生時帰属も可。相当の利益の付与が必要
分かれ目 「当然に会社のもの」が最頻出の誤り。当然に得るのは通常実施権まで、権利帰属には規程が要ります。
ここで間違える

「職務発明は当然に会社に帰属する」——前提を外す肢が最頻出です

最頻出の誤り肢は「従業者がした職務発明に係る特許を受ける権利は、当然に使用者に帰属する」——誤り。使用者帰属にできるのは契約・勤務規則等の定めがあるときで、定めがなければ従業者帰属です。

会社が当然に取得するものの取り違えも的——「使用者は当然に専用実施権を取得する」は誤り(当然取得は通常実施権)。強い独占まで無償で手に入るわけではありません。

実務では

「うちに職務発明規程なんてないよ」という製造業は珍しくありません——技術者が辞めた後に特許出願の話が持ち上がり、権利の帰属で揉める、が典型の事故です。規程の整備は弁理士・社労士と連携する仕事ですが、「規程がないと発明は本人のものですよ」という一言で経営者の目の色が変わる——就業規則の棚卸しと同じ列で、知財規程の有無を問診に入れておくべき論点です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。職務発明は原則として従業者に帰属し、会社は通常実施権を当然に取得するだけ——契約・勤務規則等の定めがあって初めて使用者帰属(2015年改正)にでき、その際は相当の利益が必要です。次は「審査なしで登録できる権利」——実用新案と意匠へ。