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経営法務 / 知的財産の土台知的
知的財産の土台 4/5 / 約5分

実用新案 — 審査なしで早い代わりに、自前の証拠が要ります

ペットボトルのキャップの開けやすい溝、工具の持ちやすい取っ手——大発明ではないけれど役に立つ「小さな工夫」を、特許と同じ重い審査に乗せていたら、流行が終わってしまいます。

だから実用新案は審査なしで登録——早い代わりに、権利を振りかざす前に自前で証拠を用意する義務が付きます。このトレードオフが試験の的です。

この5分の問い

実用新案権はなぜ審査なしで登録でき、その代わりどんな制約があるのでしょうか。

直感でつかむ

無審査で早い——その代償が技術評価書です

実用新案法は無審査登録主義——書類の形式だけ確認して(方式審査)、中身の審査(実体審査)をせずに登録します。小さな考案を早く・安く保護するための設計です。

その代償が2つ——保護対象は物品の形状・構造・組合せに係る考案のみ方法は保護されません)。そして権利行使の前に、特許庁が作る実用新案技術評価書を提示して警告しなければなりません(29条の2)——審査していない権利で他人を訴えるなら、まず客観的な評価を取ってこい、という理屈です。

実用新案の合言葉無審査で早い・物品のみ・出願日から10年——権利行使には技術評価書の提示が必要
厳密に見る

特許との対比表——審査・対象・期間の3点セットです

特許との対比で固めます——審査:特許は実体審査あり/実用新案は無審査。保護対象:特許は物・方法・生産方法まで/実用新案は物品のみ存続期間:特許は出願日から20年/実用新案は出願日から10年——どちらも出願日起算です。

「早く取れるが、行使は重い」——スピード重視の実用新案と、審査済みの安定感の特許。製品寿命の短い分野なら実用新案、長く独占したい核心技術なら特許、という使い分けの発想まで問われます。

結論が反転する分かれ目
特許
実体審査あり・物も方法も・20年
重い審査を経た安定した権利。存続期間は出願日から20年
実用新案
無審査・物品のみ・10年
早く安く登録。権利行使には技術評価書の提示が必要
分かれ目 10年↔20年の入れ替えと「方法も保護」が定番の誤り肢。無審査の代償=技術評価書、で固定します。
ここで間違える

存続期間の10年↔20年入れ替えと、「方法も保護」が定番です

定番の誤り肢は存続期間の入れ替え——「実用新案権の存続期間は出願から20年」(誤り——10年。20年は特許)。数値だけでなく「実用新案の方が短い」という構造で覚えると崩れません。

「方法の考案も実用新案登録を受けられる」も誤り——保護対象は物品の形状・構造・組合せのみで、方法は特許の領分です。「無審査だから実体審査を経ずに権利行使できる」も誤り——技術評価書の提示が要ります。

実務では

「特許は高いし時間がかかる」と諦める町工場に、実用新案は現実的な選択肢です——ただし「登録できた=お墨付き」ではないことを必ず添えます。無審査なので、いざ行使しようとしたら技術評価書で否定的評価が出る、はよくある話。攻めの道具というより、「登録済み」の表示で模倣を牽制する盾として使うのが、中小企業の実用新案の現実的な運用です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。実用新案は無審査登録主義で早く安く取れる代わりに、保護対象は物品のみ・存続期間は出願日から10年・権利行使には技術評価書の提示が必要です(特許=実体審査・物と方法・20年との対比)。次はデザインの権利——意匠法と2020年改正へ。