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経営法務 / ブランドと創作の権利
ブランドと創作の権利 3/6 / 読む3分+確認4問

著作権 — 売れる権利と、売れない権利の2階建てです

イラストレーターが企業に「著作権を譲渡」した。ではその企業は、作者の名前を消して、作品を勝手に改変してよいのでしょうか。答えはノーです。

著作権は2階建てです。お金にする権利(著作財産権)は売れるが、作品への思い入れを守る権利(著作者人格権)は本人から切り離せない。この構造が試験の的です。

この回の問い

著作権の「人格権」と「財産権」は何が違い、譲渡できるのはどちらでしょうか。

直感でつかむ

人格権=譲渡不可の3本、財産権=譲渡可の束です

著作者人格権は、公表権(未公表の作品を公表するか決める。18条)・氏名表示権(名前を出すか、どう出すか。19条)・同一性保持権(意に反する改変をされない。20条)です。作者の人格と結びついた権利なので、譲渡も相続もできません

著作財産権は、複製権・上演権・演奏権・公衆送信権・翻訳翻案権など、利用を許諾しお金にする権利の束です。こちらは譲渡も相続も可能です。そして著作権は創作した瞬間に自動発生します。特許・意匠・商標と違い、登録は不要です。

著作権の合言葉人格権(公表・氏名表示・同一性保持)=譲渡不可/財産権=譲渡可。創作と同時に自動発生・登録不要
厳密に見る

「著作権譲渡契約」の実務は、人格権を不行使特約で処理します

著作財産権を全部譲り受けても人格権は作者に残るため、名前を消したり改変したりするには別の手当てが要ります。実務では「著作者人格権を行使しない」という不行使特約を契約に入れるのが定石です(権利自体は移せないので、行使しない約束で対応する)。

権利の発生も対比で固めます。特許・実用新案・意匠・商標は出願・登録で発生する「手続の権利」、著作権は創作で自動発生する「無方式の権利」です。この違いが、次ユニットの保護期間の数え方(死後70年)にもつながります。

結論が反転する分かれ目
著作者人格権
公表権・氏名表示権・同一性保持権
一身専属で、譲渡も相続もできない。実務は不行使特約で処理
著作財産権
複製・上演・公衆送信・翻案など
利用をお金にする権利の束で、譲渡・相続が可能
分かれ目 「譲渡で全部移る」が最頻出の誤り。人格権は残るので、契約に不行使特約を入れます。
ここで間違える

「譲渡すれば人格権も移る」は、2階建てを潰す肢として最頻出です

最頻出の誤り肢は「著作権を譲渡すれば、著作者人格権を含むすべての権利が譲受人に移転する」で、誤りです。人格権は一身専属で譲渡不可、移せるのは財産権だけです。

「著作権の発生には文化庁への登録が必要」も定番の誤りで、創作と同時に自動発生・登録不要です(登録制度は存在するが、発生要件ではなく対抗要件等のための任意の制度)。

実務では

ロゴ・パンフレット・Webサイトなど、中小企業の外注制作物は著作権トラブルの温床です。「買い切りのつもりだったのに、改変したら制作会社から抗議が来た」。契約書に譲渡と人格権不行使の条項がなかった典型例です。制作物の発注契約のひな形に「著作財産権の譲渡+人格権の不行使特約」が入っているかの確認は、診断士が入り口でできる予防です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この回のまとめ

著作者人格権(公表・氏名表示・同一性保持)は譲渡・相続不可、著作財産権(複製・公衆送信・翻案等)は譲渡可であり、だから実務は財産権の譲渡+人格権の不行使特約で組みます。発生は創作と同時・登録不要。次は「いつまで守られるか」、保護期間と著作隣接権へ。