商標 — 更新すれば実質永久、使わなければ3年で取り消されます
特許は20年で必ず切れます——技術はいずれ社会の共有財産になるべきだからです。でも商標は更新すれば実質永久——100年続く老舗の屋号が100年守られるのは、ブランドの信用が使い続ける限り生き続けるからです。
裏返しに、使っていない商標は3年で取り消されうる——「使ってこそ守られる」が商標の設計思想で、この対が試験の的です。
商標権はなぜ実質永久に持てるのに、どんな場合には取り消されるのでしょうか。
登録日から10年・更新は何度でも——起算点に注意です
存続期間は設定登録の日から10年(19条)——特許・実用新案・意匠が出願日起算なのに対し、商標だけは登録日起算です。そして更新登録の申請により何度でも更新できる——技術と違い、ブランドの信用は時間で陳腐化しないからです。
その代わりの規律が不使用取消審判(50条)——継続して3年以上、日本国内で登録商標を使用していないときは、何人も(利害関係を問わず)取消しの審判を請求できます。使っていないブランドの独占は、他人の選択肢を狭めるだけだからです。
不使用取消の作法——立証責任は権者側です
不使用取消審判の細部——使用していたことの立証責任は商標権者側にあります(請求人が不使用を証明するのではない)。取消しの審決が確定すると、商標権は審判請求の登録の日に遡って消滅します。
更新申請は存続期間の満了前6月から満了日までの間に行うのが原則——うっかり失効はブランドの土台を失う事故なので、期限管理そのものが実務です。
「5年以上の不使用」と「登録日起算の拡張」が定番です
定番の誤り肢は数値の改変——「継続して5年以上使用していない場合に取消審判を請求できる」(誤り——3年)。「請求できるのは利害関係人に限られる」も誤り(何人も)です。
存続期間では起算点の混同——「商標権の存続期間は出願日から10年」は誤り(設定登録の日から)。特許・実用新案・意匠の「出願日起算」を商標にまで広げない——4権の中で商標だけが登録日起算+更新可、という特異点で覚えます。
「昔取った商標、そのままになってませんか」——事業承継やM&Aのデューデリジェンスで、更新切れ・不使用の商標はよく見つかります。逆に、他社の不使用商標が自社の新ブランドを塞いでいるなら、不使用取消審判は正面から使える道具(請求は何人も可)。商標は「取って終わり」ではなく「使って・更新して」の運用資産です。
冒頭の問いに答えます。商標権は設定登録の日から10年・更新で実質永久(4権で唯一の登録日起算+更新可)、ただし継続3年以上の不使用なら何人も取消審判を請求でき、使用の立証責任は権者側です。次は登録なしで自動発生する権利——著作権の2階建て構造へ。