経営力向上と先端設備 — 誰が認定するかで見分ける
経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画——名前がそっくりな3つの計画は、この科目の定番の混同ポイントです。
見分けの軸は2本——「何をする計画か」と「誰が認定するか」。革新=知事・力向上=主務大臣・先端設備=市区町村、の3点セットを作るのがこのユニットの仕事です。
経営力向上計画と先端設備等導入計画は何をする計画で、誰が認定し、どんな優遇があるのでしょうか。
革新=挑戦、力向上=既存の強化、先端設備=設備投資です
経営力向上計画(強化法17条)は、人材育成・財務管理・設備投資など既存事業の経営力を高める取組の計画で、事業分野ごとの主務大臣が認定します。先端設備等導入計画(同52条)は、生産性を高める先端設備の導入に特化した計画で、導入促進基本計画を作った市区町村が認定します。
経営革新計画(前ユニット)と合わせて——挑戦=革新(知事)・強化=力向上(主務大臣)・設備=先端設備(市区町村)。中身と認定主体をセットで固定します。
優遇の中身——即時償却の経営強化税制と、固定資産税の特例です
経営力向上計画の認定メリットの目玉は中小企業経営強化税制——認定計画に基づく対象設備の取得について、即時償却(取得額全額をその年の費用に)または税額控除10%(資本金3,000万円超の法人は7%)を選択適用できます(適用期限は2027年3月31日までの取得・目安)。ほかに金融支援や、事業承継等の場面での登録免許税・不動産取得税の特例があります。
先端設備等導入計画の目玉は固定資産税の特例——認定計画に基づき導入した設備の課税標準が軽減されます(軽減率・期間は年度の税制と賃上げ表明の有無で変わるため、最新の要件を確認する性質の数値です)。
認定主体の入れ替えと、「固定資産税軽減=経営力向上」の時点ズレが的です
定番の誤り肢は認定主体の入れ替え——「経営力向上計画は都道府県知事が認定する」(正=主務大臣。知事は経営革新計画)・「先端設備等導入計画は主務大臣が認定する」(正=市区町村)。3点セットの総当たりで出ます。
時点ズレの的もあります——かつては経営力向上計画にも固定資産税の軽減特例がありましたが終了済みで、現行の固定資産税特例は先端設備等導入計画側です。「経営力向上計画の認定で固定資産税が軽減される」と現行制度として書かれたら誤り——経営力向上の現行の目玉は経営強化税制(即時償却/税額控除)です。
設備投資の相談を受けたら、この2計画は取得前の段取りが全てです——経営強化税制も固定資産税特例も、原則設備を取得する前に計画の認定を受けておく必要があり、「先に買ってしまった」後からは使えないのが実務最大の落とし穴。見積書が出てきた段階で「認定が先です」と止められるかが、診断士の腕の見せどころです。即時償却は利益が出ている年に投資をぶつける課税繰延べ——決算期との位置合わせまで含めて提案します。
冒頭の問いに答えます。経営力向上計画は既存事業の強化(人材育成・財務管理・設備投資)を主務大臣が認定し、目玉は中小企業経営強化税制(即時償却または税額控除10%・7%)。先端設備等導入計画は先端設備の導入を市区町村が認定し、目玉は固定資産税の特例(率・期間は年度確認)。革新=知事・力向上=主務大臣・先端設備=市区町村の3点セットで固定です。次は、会社が生まれる瞬間の支援——創業融資へ。