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憲法 / 人権人権
人権 3/3 / 約4分

法の下の平等 — 動機は立派でも、やり方が行き過ぎることがあります

かつて刑法には、実の親を殺害した場合、通常の殺人罪よりはるかに重い法定刑を科す規定がありました。最高裁はこれを違憲としましたが(尊属殺重罰規定違憲判決)、「親を敬うべきだ」という考え方自体を否定したわけではありません。違憲とされたのは、目的でも動機でもなく、罰の重さという手段でした。

この5分の問い

尊属殺重罰規定は、何が違憲と判断されたのでしょうか。

直感でつかむ

動機は立派でも、やり方が行き過ぎれば違憲になります

「親を敬い、大切にすべきだ」という立法目的そのものは、最高裁も合理的だと認めました。違憲とされたのは、通常の殺人と比べてあまりに重い法定刑という手段です。目的は立派でも、そのためのやり方が行き過ぎた——これが尊属殺重罰規定違憲判決(最大判昭48.4.4)の核心です。

平等の軸合理的な区別は許される(14条は絶対平等ではない)。ただし目的は合憲でも手段が著しく不合理なら違憲。
厳密に見る

目的そのものが不合理とされた判例もあります

尊属殺重罰規定違憲判決(最大判昭48.4.4)は、目的合憲・手段違憲の典型です。尊属への尊重報恩という立法目的は合理的としつつ、通常殺人と比べて刑の加重の程度が著しく不合理だとして14条1項違反としました。

これに対し、国籍法違憲判決(最大判平20.6.4)は、婚姻要件による国籍取得の差異が、家族生活や親子関係の実態の変化・国際化の進展という社会情勢の変化に照らして不合理な差別になっているとして違憲とされました。目的自体(かつては一定の合理性があった)よりも、規定全体の不合理性が問題とされた事案です。

関連する判例として、非嫡出子相続分差別違憲決定(最大決平25.9.4)は嫡出子の2分の1という相続分の規定を違憲とし、現行法では嫡出子と同等の扱いです。再婚禁止期間については、最大判平27.12.16が100日を超える部分を父性推定の重複回避に必要な範囲を超えるとして一部違憲とし、その後2024年4月1日施行の民法改正で再婚禁止期間の規定自体が廃止されています(本ユニットの法令基準日2026-04-01時点では条文自体が存在しません)。

結論が反転する分かれ目
目的合憲・手段違憲
尊属殺重罰規定(最大判昭48.4.4)
尊属を敬う目的は合理的。加重の程度という手段が著しく不合理
規定全体が不合理
国籍法違憲判決(最大判平20.6.4)
社会情勢の変化により、婚姻要件による差異自体が不合理な差別に
分かれ目 目的・手段どちらが問題とされたかは判例ごとに異なる。丸暗記せず構造で押さえる。
ここで間違える

「目的自体が違憲」への取り違えが最頻出です

第一の手口は目的と手段の入れ替えです。「尊属殺重罰規定違憲判決は、尊属を尊重するという立法目的自体が違憲であるとした」は誤りです。目的は合理的とされ、手段(加重の程度)が違憲とされました。

第二の手口は制度の陳腐化への無頓着です。「再婚禁止期間は現行法でも100日を超える部分が違憲のまま存在する」は誤りです。2024年4月1日施行の改正で規定自体が廃止されています。

第三の手口は相続分規定の据え置きです。「非嫡出子の相続分は現行法でも嫡出子の2分の1である」は誤りです。最大決平25.9.4により違憲とされ、現行は同等です。

実務では

行政書士が戸籍・相続関係の書類を扱う実務では、この分野の改正沿革を正確に把握していることが、依頼者への誤った案内を防ぎます。「再婚禁止期間があるので待ってください」という誤った助言は、2024年改正後は通用しません。法令基準日を意識した最新知識のアップデートが、この分野では特に重要です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

答えです。尊属殺重罰規定は目的は合憲、手段(加重の程度)が違憲でした。国籍法違憲判決は社会情勢の変化による不合理化が問題とされました。これで人権分野の主要3ユニットが一巡しました。次は統治——内閣総理大臣の権限からです。