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行政法 / 訴えの利益訴え
訴えの利益 1/4 / 約5分

訴えの利益の判断枠組み — この要件だけは、あとから消えることがあります

集会のために公園の使用を申請して、断られた団体がありました。取消しを求めて裁判で争ううちに、集会の予定日は過ぎてしまいます。裁判所の判断はこうでした。いまさら不許可を取り消しても、過去のその日に戻って集会を開くことはできない。得られるものが何も残っていない以上、訴えは成り立たない(最大判昭28.12.23・皇居外苑事件)。

取消訴訟の入口の審査(訴訟要件)のうち、処分性と原告適格は、訴えの性質でほぼ決まります。「訴えの利益」だけは違います。期間の経過、工事の完成、目的の消滅。時間とともに、裁判の途中でも消えることがある要件です。

この5分の問い

事情が変わってしまった後でも、処分の取消しを求める意味が残るのは、どんなときでしょうか。

直感でつかむ

「取り消して、何が戻るか」を最後まで問われます

この要件の判断は、感情の話ではありません。悔しさや名誉ではなく、取消しによって現実に回復できる法律上の利益が残っているか、だけを見ます。

訴えの利益の問い処分を取り消すことで、回復できる法律上の利益がまだ残っているか?

このシリーズで見る判例は6つ、条文は9条1項の括弧書き1つです。判例6つは「時間が経ったら消えた」型と「時間が経っても残った」型に、きれいに分かれます。

厳密に見る

9条1項の括弧書きが、二段構えを定めています

根拠は原告適格と同じ9条1項ですが、今度は括弧書きが主役です。

…法律上の利益を有する者(処分…の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなお処分…の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。(行訴法9条1項)

判断は二段構えです。第一段は原則で、処分の法的効果がまだ残っているかを見ます。残っていれば訴えの利益はあります。第二段は括弧書きの拡張で、効果が消えた後でも、取消しによって回復すべき法律上の利益が別に残っていれば、なお訴えられます。

皇居外苑事件は、第一段でも第二段でも残るものがなかった例です。特定の日の使用の不許可は、その日の経過とともに、取り消して回復できるものがなくなりました。

ここで間違える

「訴えの利益なし」は「処分が適法だった」ではありません

訴訟要件に共通する鉄則が、ここでも効きます。訴えの利益を欠く訴えは却下されます。本案に入らないので、処分が正しかったかどうかは審理されていません。「訴えの利益を欠く場合、請求を棄却する」という肢は誤りです。

もう1つ、「処分の効果がなくなれば、いかなる場合にも訴えの利益はない」という肢も誤りです。括弧書きがまさにその場合の救済を定めています。

実務では

「いまさら争っても意味がありますか」という相談は、実務で頻繁にあります。答えの組み立て方はこのユニットの二段構えそのままです。処分の効果が今も続いているか。終わっているなら、取消しで消せる不利益が制度のどこかに残っていないか。感覚で「もう遅いですね」と答えず、この2つを順に確認してから見立てを伝えます。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに戻ります。事情が変わった後でも争えるのは、処分の法的効果か、取消しで回復すべき法律上の利益が、まだ残っているときです。次のユニットでは、この判断がいちばん際どく割れる場面——工事が完了してしまった後——を見ます。