shikakuホームへ
行政法 / フランケン肢フラ
フランケン肢 1/3 / 約5分

フランケン肢 — 部品は全部本物、つなぎ目だけが偽物です

「許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、弁明の機会を付与しなければならない」。この肢の単語は、一つ残らず本物です。許認可等の取消しも、不利益処分も、弁明の機会も、全部テキストで見た部品。それなのに全体は誤りです(取消しは聴聞)。見覚えのある部品が多いほど、人は正しいと感じてしまう——誤り肢はその心理で組み立てられています。

この5分の問い

部品が全部本物の誤り肢を、どこを見て見破ればよいのでしょうか。

直感でつかむ

見覚えの多さは、正しさの証拠になりません

読み慣れた言葉が並ぶ文章は、すらすら読めます。そして人は、すらすら読めたことを「正しい」の感触と取り違えがちです。出題者はだから、誤り肢ほど本物の部品で組みます。

回避の軸検査するのは部品ではなくつなぎ目。「〜するときは」「〜に対して」「〜以内に」と、文末の述語

部品の真偽と、つなぎ目の真偽は別の検査です。部品検査は一瞬で終えてよい(どうせ本物です)。時間をかけるのは、部品と部品を結ぶ関係のほうです。

厳密に見る

検査は三点。つなぎ目・述語・否定の符号です

検査①つなぎ目。「AのときはB」の形をみたら、AとBの組合せが本物かを見ます。冒頭の肢なら、「許認可等の取消し」(A)に接続すべき部品は聴聞であって弁明ではない(行手法13条1項1号イ)。部品単位の見覚えでは、この接続の偽りは検出できません。

検査②述語。日本語は結論が文末に来るので、加工も文末に置けます。前半で安心した読み手は述語で油断する——だから述語から先に読むのが対抗手順です。「解散しなければならない」とあれば、原文は「解散することができる」ではないか(自治法178条1項)。義務・裁量・可能・禁止のどれで終わっているかを最初に確定します。

検査③否定の符号。「〜できないわけではない」「ただし〜の場合は、この限りでない」。否定が二重になったら、頭の中で数えず、肯定形に翻訳してから真偽を判定します。「この限りでない」は直前の原則を打ち消す合図なので、「つまり例外的に〜できる(〜しなくてよい)」と言い換えてから読み進めます。

三点検査の順番は、述語→つなぎ目→否定、が実戦的です。文末を見て文の型を確定し、それから接続を照合する。素通りしがちな場所から先に見る、というのがこの手順の思想です。

結論が反転する分かれ目
部品
単語・制度名・条文番号
見覚えがあって当然(本物で組まれる)。検査は一瞬でよい
つなぎ目
「〜のときは」「〜に対して」+述語
加工はここに置かれる。時間をかけるのはこちら
分かれ目 すらすら読めた=正しい、ではない。読みやすさは検査の代わりにならない。
ここで間違える

この検査手順にも、二つの副作用があります

第一に、全部の肢に三点検査をかける時間はありません。検査は「正しく見える肢」にこそ使うものです。明らかに数字が違う肢に述語検査は不要です。違和感のない肢ほど疑う、という配分が正解です。

第二に、正しい肢も本物の部品でできています。「部品が本物ばかりだから怪しい」と逆読みすると、正解の肢を切ってしまいます。部品の見覚えは、正しさの証拠にも誤りの証拠にもならない——中立の情報として扱ってください。

実務では

この三点検査は、実務の契約書・行政文書レビューの動作そのものです。条項の単語一つ一つは定型でも、「誰が・いつまでに・しなければならないのか・できるにとどまるのか」というつなぎ目と述語に、依頼者の権利義務が全部詰まっています。試験の肢で作ったこの目は、開業初日から使う商売道具です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

答えです。部品はどうせ本物なので、述語→つなぎ目→否定の符号の順で検査する。下のドリルは全問「部品は本物」で組んであります。どこのつなぎ目が偽物か(あるいは全部本物か)を見抜く訓練です。