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行政法 / 判例の引力
判例の引力 3/3 / 読む3分+確認7問

引力演習・原則編 — 「有名なのに原則側」の判例で逆流を止める

「有名判例=例外を作った判例」という思い込みは、判例の引力の最後の変奏——原則を確認したからこそ有名になった判例も多くあります。原則側のスターを並べ、引力の逆流(「有名だから例外側だろう」という反射)を止めます。

この回の問い

「有名なのに原則側」の判例を、例外側と混ぜずに持てるでしょうか。

直感でつかむ

原則側の判例は「本線を敷いた側」として覚えます

鉄道でいえば、例外を開いた判例が分岐器、原則側の判例は本線の線路を敷いた判例。用途地域の指定に処分性なし(本線)、立法不作為の国賠は原則否定(本線)。本線が確定しているからこそ、分岐の狭さも際立ちます。

演習の軸判例を思い出したら「これは本線(原則)分岐(例外)か」を先に言う。
厳密に見る

原則側のスターを四人、確認します

用途地域の指定(最判昭57.4.22)。処分性なし——一般的・抽象的な制限にとどまる、処分性の本線を確定した判例。計画側の分岐は土地区画整理事業計画の判例変更(最大判平20.9.10)。本線と分岐をセットで持ちます。

ごみ焼却場の設置行為(最判昭39.10.29)。処分性なし。私法上の契約に基づく非権力的な事実行為は、本線の外です。ただし権力的事実行為(代執行の実行・直接強制・即時強制・人の収容など)は、行訴法3条2項の「その他公権力の行使に当たる行為」として処分性あり。「事実行為だから処分性なし」と丸ごと覚えると、代執行の実行を問う肢で落とします。

在宅投票制度廃止(最判昭60.11.21)。立法不作為の国賠は原則否定。分岐を開けたのは在外邦人選挙権(最大判平17.9.14)で、分岐の狭さ(選挙権の根幹・長期の制限)は本線があってこそ意味を持ちます。

宅建業者の監督懈怠(最判平元.11.24)。規制権限の不行使は原則として違法にならない(著しく不合理な場合に限る)ことを、否定例の側から確認した判例。

結論が反転する分かれ目
本線(原則)
用途地域=処分性なし/在宅投票=国賠否定
原則の本線を敷いた有名判例
分岐(例外)
区画整理(判例変更)/在外邦人選挙権
狭い分岐。決め手ごと覚える
分かれ目 「有名=例外」ではない。本線のスターも多い。
ここで間違える

本線の判例を「古いから変更されたかも」と疑い出すと、きりがありません

判例変更は実際にあります(区画整理・最大判平20.9.10)。しかし変更は例外中の例外。「昭和の判例だから違うかも」という不安で本線を切ると、正答率はかえって下がります。判例変更は変更があったと明示的に学んだものだけ——それ以外は現役として扱うのが正しい賭け方です。

実務では

依頼者への「できません」の説明は、実は本線側の判例の出番です。「この類型は最高裁が争えないと確定させています」と原則側の判例を引けることは、無駄な争訟から依頼者を守る専門性です。分岐だけでなく本線の判例を持つことが、助言の誠実さを支えます。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この回のまとめ

判例は本線(原則)と分岐(例外)のセットで持つ。これで誤答心理シリーズは一巡です。こんがらがりには錨を、正義感には裏切りリストを、フランケン肢には三点検査を、判例には決め手と本線を。4つの武器を、ドリルの周回で反射に変えてください。