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行政法 / 行政不服審査法行政
行政不服審査法 1/4 / 約5分

審査請求のしくみ — 裁判より速く、「不当」まで審査します

処分に不服があるとき、裁判所へ行く前に、行政の中で争い直すルートがあります。手数料は不要で、裁判より簡易・迅速です。そして裁判所には持ち込めない主張——「違法とまでは言えないが、不当だ」——まで審査の対象になります。

その代わり、行政が自分の身内を審査して公正といえるのか、という疑問が常に付きまといます。2014年(平成26年)の全部改正は、この疑問に答えるための仕掛けを2つ組み込みました。この5分では、誰に申し立て、誰が審理するのかという骨格をつかみます。

この5分の問い

審査請求は誰に対して行い、公正さはどんな仕組みで支えられているのでしょうか。

直感でつかむ

クレームは現場ではなく、本社に入れます

商品への苦情を、売った本人に言っても話が進まないことがあります。本社のお客様相談室に入れるのが定石です。審査請求も同じ設計で、申立先は原則、処分をした行政庁の最上級行政庁です。

公正の軸担当した本人には裁かせない(審理員)。外の目も入れる(行政不服審査会)。

審査を実際に仕切るのは、処分に関与していない職員から指名される審理員です。さらに、結論を出す前に第三者機関への諮問を挟みます。内輪の審査に、二重の公正装置を付けた形です。

厳密に見る

4条が宛先を、9条と43条が公正装置を定めています

目的規定から確認します。この法律は「簡易迅速かつ公正な手続」による国民の権利利益の救済を掲げ、審査の対象を違法又は不当な処分と明記しています(1条1項)。裁判所が扱えるのは違法だけなので、「不当」まで届くのはこのルートの固有の強みです。

宛先は4条です。原則は処分庁の最上級行政庁(4号)。処分庁に上級行政庁がない場合や、処分庁が主任の大臣・外局の庁の長である場合は、その処分庁自身が審査庁になります(1号)。

公正装置の1つ目が審理員です。審査庁は、所属する職員のうちその処分に関与していない者を審理員に指名し(9条1項・2項)、審理員が審理手続を主宰して意見書を審査庁に提出します。2つ目が諮問です。審査庁は裁決の前に、原則として行政不服審査会(国の場合)へ諮問しなければなりません(43条1項)。審査請求人が諮問を希望しない旨を申し出た場合などの例外はありますが、原則は義務です。

結論が反転する分かれ目
審査請求
行政の中のやり直し審査
無料・簡易迅速。違法に加えて不当も審査できる(1条)
取消訴訟
裁判所での争い
厳格な手続。審査できるのは違法のみ。不当(裁量の当否)は届かない
分かれ目 「不当」まで争えるのは審査請求だけ。
ここで間違える

「審理員が裁決する」と「審査会が裁決する」は、どちらも誤りです

三者の役割の入れ替えが定番の手口です。審理手続を主宰し意見書を書くのは審理員、諮問に対して答申するのは行政不服審査会、そして裁決するのは審査庁です。意見書も答申も、審査庁を法的に拘束はしません。「審理員が裁決する」「審査会の答申に審査庁は拘束される」はいずれも誤りです。

宛先の手口もあります。「審査請求は常に処分庁の直近上級行政庁に対してする」は誤りで、原則は最上級行政庁です(4条4号)。

そして射程の手口です。「審査請求では処分の違法性のみを争うことができる」は誤りで、不当も審査対象です(1条1項)。

実務では

「裁判までは考えていないんですが、何とかならないでしょうか」という相談に、費用のかからない審査請求ルートを示せるのが行政書士です。ただし、審査請求の代理は研修を修了して付記を受けた特定行政書士に限られる業務です(行政書士法1条の4)。自分がどこまで受任でき、どこから特定行政書士や弁護士につなぐのか。この線引きを正確に語れることが信頼の土台になります。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。審査請求は原則最上級行政庁に対して行い、公正さは処分に関与していない審理員行政不服審査会への諮問の二重装置で支えられています。次のユニットは、このルートの最初の関門——期間の数字です。