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行政法 / 行政不服審査法行政
行政不服審査法 4/4 / 約5分

裁決と枝道 — 非を認めたうえで、結論は維持する裁決があります

審査請求の結末(裁決)は、却下・棄却・認容の3種類です。ところが行政不服審査法には、その枠に収まらない変わり種があります。処分が違法または不当であると主文で宣言しながら、公の利益への著しい障害を理由に、請求自体は棄却する——そんな裁決まで条文に用意されています。

この5分の問い

裁決には何ができて、審査請求のほかにはどんな枝道があるのでしょうか。

直感でつかむ

出口は3つ、変わり種が1つ、枝道が2本です

出口の3つは裁判と同じ発想で並びます。門前払い(却下)、中身で負け(棄却)、勝ち(認容)。変わり種が、非を認めたうえで結論は維持する事情裁決です。覆すと公益に著しい障害が出る場合の、苦い妥協の装置です。

出口の軸認容では取消し・変更まで。ただし審査請求人の不利益への変更は禁止

枝道の2本は、処分庁自身にまず見てもらう再調査の請求と、裁決にさらに不服がある場合の再審査請求です。どちらも使えるのは法律に定めがある場合だけ、という点が共通です。

厳密に見る

45条・46条・48条が出口を、5条・6条が枝道を定めています

不適法な審査請求は却下、理由がなければ棄却です(45条1項・2項)。理由があれば認容で、審査庁は処分の全部・一部の取消しのほか変更もできます(46条1項)。ただし2つの縛りがあります。上級行政庁でも処分庁でもない審査庁は変更ができず(同項ただし書)、どの審査庁も審査請求人の不利益に変更することはできません(48条・不利益変更の禁止)。

変わり種はこう書かれています。

…処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。(行審法45条3項)

枝道です。再調査の請求は、処分庁自身に簡易な見直しを求めるルートで、法律に定めがある場合に限り使え、審査請求との選択制です(5条1項)。再調査を選んだら、原則としてその決定を経てからでないと審査請求はできません(同2項)。再審査請求も法律に定めがある場合に限られます(6条)。そして入口の案内が教示です。不服申立てができる処分を書面でするときは、不服申立先と期間を書面で教示する義務があり(82条1項)、教示がなかった場合は処分庁に不服申立書を出せば、正しい宛先に送付され、初めから適法に申し立てたものとみなされます(83条)。

結論が反転する分かれ目
却下
門前払い
期間経過など不適法な請求。中身は審理されていない(45条1項)
棄却
中身で負け
審理したが理由がない(45条2項)。事情裁決は違法・不当を宣言する特殊な棄却(3項)
分かれ目 入口で弾かれたのが却下、中身で負けたのが棄却。訴訟要件の却下と同じ構図。
ここで間違える

事情裁決の「宣言」を落とした肢が出ます

事情裁決の手口は2つです。「公益への障害を理由に棄却する場合、違法の宣言は要しない」は誤りで、主文での宣言は義務です(45条3項後段)。また「事情裁決は違法な処分についてのみ可能」も誤りで、条文は違法又は不当と書いています。

変更の手口は方向です。「審査庁は、審査請求人の不利益に処分を変更することができる」は48条の明文に反します。また、第三者的審査庁(上級庁でも処分庁でもない)は変更自体ができません(46条1項ただし書)。

枝道の手口は「いつでも使える」です。再調査の請求も再審査請求も、法律に定めがある場合に限られます(5条・6条)。「すべての処分について再調査の請求ができる」は誤りです。

実務では

「税務署の処分に納得がいかない」のような相談では、再調査の請求が使える類型かどうかで最初の一手が変わります。国税は再調査の請求の定めがある代表例です。処分通知書の教示欄にルートと期限が書いてあるので、そこを依頼者と一緒に読むところから始めます。教示がない・誤っている場合の救済(83条・22条)まで知っていると、締切間際の相談でも打ち手を残せます。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

答えです。裁決は却下・棄却・認容(取消し・変更、ただし不利益変更は禁止)、加えて違法・不当を宣言して棄却する事情裁決。枝道の再調査・再審査は法律に定めがある場合だけです。これで行政不服審査法は一巡——行訴法・手続法と合わせ、救済三法の景色がつながりました。ドリルで数字と役割を反射にしてください。