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統治行為論の2大判例、部分社会の法理の令和判例修正——「裁判所が審査しない」ケースのパターンを、判例ジャッジで体得する章。国会(第1章)・内閣(第2章)を経て、三権の最後の一角へ。
日米安保条約の違憲審査を裁判所は拒否できるか? 地方議会が議員を出席停止にしたら司法審査の対象になるか?
行政事件訴訟では違憲審査権を持つ裁判所の判断が最終的な拠り所となるため、付随的違憲審査制の仕組み・統治行為論の限界・司法権の範囲を理解することは、行政書士が依頼人に対して訴訟戦略を説明する際にも不可欠な素養である。
最高裁判所は大法廷(全15名)と小法廷(5名×3)で構成される。大法廷を開かなければならない場面は限られており、頻出。
① 法律・命令・規則または処分が違憲と判断するとき
② 最高裁の判例を変更するとき
司法権の独立を実質的に担保するため、裁判官の身分は手厚く保護されている。
裁判官は次の場合を除き罷免されない。
罷免の訴追を受けた裁判官を裁くために、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける(64条)。弾劾裁判所は常設機関であり、裁判官訴追委員会(同じく常設)とセットで運営される。裁判所ではなく国会が設置・運営する機関であることが重要。
最高裁判所裁判官は、任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民の審査に付され、その後10年ごとに同様の審査が行われる。投票者の多数が罷免を可とすれば罷免。
日本は付随的違憲審査制を採用する。具体的な訴訟事件の解決に必要な限りで、法令の合憲性を審査できる。抽象的に「この法律は違憲か」を審査する権限はない。
憲法81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
具体的訴訟事件を離れ、抽象的に法令の違憲審査を求めることは許されないと判示。日本の付随的審査制を確認した基本判例。
個別的効力説が通説・判例。違憲判決は当該事件にのみ効力を有し、法律が自動的に失効するわけではない(法令が廃止されるには立法措置が必要)。
司法権には限界がある。「裁判所が審査しない」ケースのパターンを整理する。
高度に政治的な国家行為は、一見極めて明白に違憲・違法でない限り、司法審査の対象とならないとする理論。
日米安全保障条約に基づく米軍の駐留が憲法9条に違反するかが争われた。最高裁は「高度の政治性を有する条約」として司法審査の対象外と判示。
内閣による衆議院解散の合憲性が争われた。最高裁は「極めて政治性の高い国家行為」として司法審査の対象外と判示。
一般市民社会とは異なる特殊な部分社会の内部問題は、自律的解決に委ね、原則として司法審査の対象としない。
大学による単位認定の拒否が争われた。単位認定は大学の内部問題(部分社会の自律)として司法審査の対象外。ただし退学処分は一般市民としての権利義務に関わるため対象となる。
地方議会が議員に出席停止の懲罰を科した事案。最高裁大法廷は「出席停止処分は議員の核心的な活動を制限し、住民の代表としての議員の権能に直接影響する」として、司法審査の対象になると判示。部分社会の法理の適用を修正した重要判例変更。
宗教団体内部の本尊の真偽(宗教上の教義)が争われた。裁判所の審判権の対象となる「法律上の争訟」に当たらないとして却下。
立法不作為が国賠法上違法となりうる。特に選挙・国民審査に関する2つの最高裁判決は最重要。
在外邦人の選挙権行使を制限した公職選挙法の規定が違憲とされ、長期にわたる立法不作為は国賠法上も違法と判示。
在外邦人が最高裁裁判官の国民審査に投票できなかった事案。審査権行使を認めない規定は違憲と判示。立法不作為は国賠法上も違法。
判例の事案を読み、司法審査の対象になるか否かを判定する。統治行為・部分社会・法律上の争訟の3類型を意識して。
事案を読み、結論を予想する。判決と理由がその場で出ます。
砂川 vs 苫米地、令和2年の判例変更、付随的 vs 抽象的——3ペアで分かれ目を体得。
「高度に政治的な国家行為は、いかなる場合も一切司法審査されない」→ 誤り。砂川事件(最大判昭34.12.16)は「一見極めて明白に違憲無効と認められない限り」という留保付き。理論上の審査可能性は残されている。
「地方議会議員の出席停止処分は、部分社会の法理により司法審査の対象とならない」→ 誤り。最大判令2.11.25で対象となると判例変更された。旧判例の結論を現在の結論として提示する時点ずらしのワナ。
「罷免の訴追を受けた裁判官は、最高裁が設置する弾劾裁判所で、裁判官によって裁かれる」→ 誤り。弾劾裁判所は両議院の議員で組織する(64条)。設置・運営するのは国会であり、裁判所ではない。
「最高裁が法律を違憲と判断すると、その法律は当然に効力を失う」→ 誤り。通説・実務は個別的効力説。違憲判決の効力は当該事件に及ぶにとどまり、法令を廃止・改正するには立法措置が必要。
最高裁判所の裁判官の人数として正しいものはどれか。
地方議会が議員に対して出席停止の懲罰を科した場合、判例上、この懲罰は司法審査の対象となるか。
行政書士試験と同形式の5肢択一問題。判例年月日を正確に押さえて解答する。
裁判所の権能および司法権の限界に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
弾劾裁判所を組織するのは〔 ? 〕の議員(64条)。砂川事件で司法審査が行われなかった根拠は〔 ? 〕論。地方議会の出席停止処分は〔 ? 〕の対象〔 ? 〕(最大判令2.11.25)。違憲判決の効力は〔 ? 〕にのみ及ぶ(個別的効力説)。
裁判官の罷免は心身の故障または公の弾劾のみ(78条)。弾劾裁判所は国会議員で構成(64条)。統治行為論:砂川(条約)・苫米地(解散)は対象外(明白な違憲は別)。部分社会:富山大学(単位)は対象外だが、地方議会出席停止(令2)は対象。最高裁は付随的審査制、違憲判決は個別的効力説(自動失効しない)。