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国会・内閣・裁判所はそれぞれどこまで権限を持ち、互いをどう縛るか。まずは国会——衆議院の優越の数字が試験の生命線。内閣は次の章、裁判所はその次の章で扱う。
衆議院で可決された法律案を参議院が否決した。衆議院が再可決するには「出席議員の2/3以上」か「総議員の2/3以上」か?
行政書士は、国会で制定された法律を根拠に許認可申請の代理を行う。法律がどう作られ、どの機関がどこまで関与するかという統治機構の基本構造は、行政法・行政手続の理解の土台になる。三権分立の全体像を掴んでおくことは、依頼人に制度を説明する際にも不可欠な素養である。
日本国憲法は立法・行政・司法の三権を分立させ、それぞれが他を抑制・均衡させる仕組みを採る。統治機構の学習は「どの機関がどの権限を持ち、他機関をどう制約するか」を整理することが核心。
国権の最高機関かつ唯一の立法機関(41条)。二院制。衆議院に4つの優越あり。本章のテーマ。
行政権の主体(65条)。議院内閣制により国会に連帯して責任を負う(66条3項)。次章で扱う。
司法権の主体(76条)。付随的違憲審査制を採用。続く章で扱う。
各議院の総議員の2/3以上の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成が必要。
数字(1/4・1/3・2/3)だけを丸暗記すると、必ず入れ替えのワナにかかる。鍵は母数——総議員を数えるのか出席議員を数えるのか。この違いには理由がある。その決定を後から覆せるかどうかだ。
憲法改正の発議(96条)は総議員の2/3。なぜ「総議員」か。改正は国のかたちを不可逆に変える最重量級の決定だから、母数を全議員にとり、欠席者を実質「反対」に数える。こうすれば賛成派は、反対派を欠席させて数を稼ぐことができない。これに対し法律案の再可決(59条2項)は出席議員の2/3。法律は次の国会で改廃できる可逆な決定なので、その場に出席した議員だけを母数にとれば足りる。数字は同じ2/3でも、母数が「総」か「出席」かは決定の重さで決まる——これが因果の芯。
この「重さ→母数」の物差しは、より軽い決定にもそのまま伸びる。臨時会の召集要求(53条)は総議員の1/4、議事を始めるための定足数(56条1項)は総議員の1/3。内閣に召集を促す・議事を開くといった入口の決定は少数でも足りるが、法律や憲法という出口の決定になるほど母数のハードルが上がる。1/4 → 1/3 → 出席2/3 → 総2/3という一本の階段で押さえる。
衆議院の優越には4種類ある。数字と要件を正確に押さえることが最重要。
| 場面 | 条文 | 要件・手続 |
|---|---|---|
| 法律案の再可決 | 59条2項 | 衆議院で出席議員の2/3以上で再可決→法律として成立 |
| 予算の先議権・議決 | 60条 | 衆議院が先に審議。参議院が異なる議決→両院協議会→衆議院の議決が国会の議決 |
| 条約の承認 | 61条 | 予算と同じ手続で衆議院優越。締結は内閣の権限(73条3号)、承認は国会の権限(61条)——主体を混同しない |
| 首相の指名 | 67条 | 両院協議会でも一致しない→衆議院の議決が国会の議決 |
| 種類 | 条文 | 召集・会期 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 常会(通常国会) | 52条 | 毎年1回召集。会期150日(国会法10条) | 主として予算・法律案を審議 |
| 臨時会(臨時国会) | 53条 | 内閣が必要と認めるとき、またはいずれかの議院の総議員の1/4以上の要求があるとき召集 | 召集時期の明文規定はない(合理的期間内に召集すべきとされる) |
| 特別会(特別国会) | 54条1項 | 衆議院解散→総選挙→30日以内に召集 | 首相指名が主目的。参議院の緊急集会(同条2項)と区別する |
衆議院解散中、国に緊急の必要がある場合、内閣は参議院の緊急集会を求めることができる。ここでとられた措置は臨時のものであり、次の国会開会後10日以内に衆議院の同意がなければ効力を失う。
各議院が有する権能。国政全般を調査し、証人喚問・書類提出要求ができる。
補助的権能説(通説):国政調査権は立法・予算審議等の議院の権能を補助するための権能にすぎない。したがって①裁判所の独立(係争中事件の審理内容への介入不可)・②行政権の独立(内閣の一般行政への過度な介入不可)・③個人のプライバシーの限界がある。
浦和事件(昭和24年)を踏まえた司法との関係:参議院法務委員会が刑事確定事件の記録を請求した際、最高裁長官が拒否。司法権の独立の観点から、裁判官の裁判行為そのものは国政調査の対象とならないのが通説。
国会議員には、その職責を全うするための3つの保障がある。とりわけ不逮捕特権と免責特権は、要件と例外が入れ替えの標的になる。
議員は会期中は逮捕されない。会期前に逮捕された議員も、議院の要求があれば会期中は釈放される。
例外(国会法33条):①院外の現行犯、②その議院の許諾がある場合は、会期中でも逮捕できる。
議院で行った演説・討論・表決について、院外で責任を問われない(民事・刑事責任の免除)。
対象は国会議員のみ。地方議会議員には及ばない。所属政党内での処分など政治責任は別。
不逮捕特権は会期中に限られ、しかも現行犯・議院の許諾という例外がある。「議員はいかなる場合も逮捕されない」は誤り。免責特権が守るのは議院での職務としての言論であり、院外での一般人としての発言や暴力行為には及ばない。歳費受領権(49条)も併せて議員の3特権として押さえる。
「臨時会の召集は、いずれかの議院の総議員の3分の1以上の要求で決定される」→ 誤り。臨時会召集の要求は総議員の1/4(53条)。1/3は議事を開くための定足数(56条1項)。近い数字どうしを差し替える典型。
「国政調査権は議院に固有の独立した権能であり、裁判所の審理内容にも及ぶ」→ 誤り。通説(補助的権能説)は、国政調査権を立法・予算審議等の権能を補助するための権能と位置づけ、裁判所の独立・行政権の独立・個人のプライバシーという限界を認める。「独立・無制約」という誇張が罠。
法律案の再可決(憲法59条2項)に必要な衆議院の賛成要件として正しいものはどれか。
行政書士試験と同形式の5肢択一問題。数字・要件を正確に押さえて解答する。
衆議院の優越および国会の会期に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
決定の重さが母数を決める:1/4(臨時会召集)→1/3(定足数)→出席2/3(法律再可決)→総2/3(憲法改正)。改正が「総議員」なのは欠席者を実質反対に数える不可逆な決定だから。会期:常会150日・特別会は総選挙後30日以内。議員特権:不逮捕(会期中・現行犯等は例外)・免責(議院での職務言論のみ)。国政調査権は補助的権能にとどまる。
法律案の再可決に必要なのは〔 ? 〕議員の2/3。憲法改正の発議に必要なのは〔 ? 〕議員の2/3。臨時会の召集要求は総議員の〔 ? 〕、定足数は総議員の〔 ? 〕。
議院内閣制・内閣総理大臣の権限・政令の位置づけを扱う。