リース会計 — 名義は借り物でも、実質が購入なら帳簿に載せます
6年使う機械を、6年契約のリースで借りて、リース料総額で価格のほぼ全額を払う——これは「借りている」のでしょうか、「分割払いで買った」のでしょうか。
会計の答えは「実質で判定する」です。名義がリースでも実質が購入なら、自分の資産と負債として貸借対照表に載せる。判定の物差しは2本、数字は75%と90%です。
ファイナンスリースとオペレーティングリースはどう判定され、会計処理はどう違うのでしょうか。
「使い倒して、ほぼ全額払う」なら、それは実質購入です
リースには2つの顔があります。ファイナンスリース=実質的に分割払いの購入。資産の寿命の大半を使い、価格のほぼ全額を払い切る契約です。オペレーティングリース=ただの賃借。短期間借りて返すだけの契約です。
処理は顔に従います。ファイナンスリースはリース資産とリース負債をB/Sに計上し、費用は減価償却費+支払利息の形で落ちます(買った場合と同じ姿)。オペレーティングリースは支払リース料を費用計上するだけで、B/Sには載りません(オフバランス)。
判定は75%と90%。どちらか1つ満たせばファイナンスです
大前提が1つあります。中途解約できない(またはこれに準ずる)契約であること。そのうえで、フルペイアウトの目安として次の2本を見ます——いずれかを満たせばファイナンスリースです。①リース期間 ≧ 耐用年数×75%(寿命の大半を使う)。②リース料総額の現在価値 ≧ 見積現金購入価額×90%(ほぼ全額を払う。実務指針の文言では「おおむね」が付きます)。
数値で判定します。耐用年数8年の機械を6年リース——6÷8=75%で①該当、ファイナンスです。購入価額1,000万円の設備でリース料総額の現在価値が920万円——92%≧90%で②該当、これもファイナンスです。
時点の注記を1つ。国際基準(IFRS16、2019年〜)は借手のリースを原則すべてオンバランスにしており、日本基準も新しいリース会計基準(企業会計基準第34号)が公表済みで、2027年4月1日以後開始する事業年度から強制適用されます。ただし本試験の法令基準日(2026年5月1日)時点の現行は、上記のファイナンス/オペレーティング区分です。「日本基準は既に全リースをオンバランス化した」と先回りさせる肢に注意してください。
閾値の数字と、「どちらか1つで該当」を崩す肢が定番です
数字のすり替え——「耐用年数の90%以上」「現在価値の75%以上」と閾値を入れ替えた肢が並びます。期間は75・金額は90。「長さは4分の3、お金は9割」と語呂で固定してください。
判定の論理も突かれます。「両方を満たす場合に限りファイナンスリースとなる」——誤りです。いずれか一方で該当します。ANDとORの入れ替えは、この論点に限らず判定基準系の定番手口です。
「リースなら資産に載らないから、借金が増えて見えなくて済むんでしょ?」。経営者のこの理解は、ファイナンスリースには通用しません。実質購入ならB/Sに載り、自己資本比率にも効きます。設備調達の相談では、リースか購入かの損得の前に「そのリースはどちらの顔か」の判定から始めます。
冒頭の問いに答えます。期間75%か金額90%のいずれかを満たせばファイナンスリース=実質購入としてオンバランス、満たさなければオペレーティング=費用計上のみ。次のユニットは、帳簿に載せた資産の値打ちが萎んだとき——減損会計です。