shikakuホームへ
運営管理 / 売場の科学売場
売場の科学 2/4 / 約5分

店舗設計 — 牛乳が店の奥にあるのは、偶然ではありません

スーパーで牛乳・卵・パンが店のいちばん奥にあるのは、偶然ではありません。ほぼ全員が買う商品を奥に置けば、客は店内を縦断し、途中の棚が全部目に入る。レジ前のガムとチョコは、待ち時間の「ついで買い」の仕掛けです。

売場の配置は1つ1つが設計です——レイアウトの型・動線の長短・VMDの3階層が試験の的になります。

この5分の問い

店内の商品配置は、何を狙ってどう設計されているのでしょうか。

直感でつかむ

客の動線は長く、従業員の動線は短く——が大原則です

設計の狙いは、滞在時間を延ばし、目に入る商品を増やし、ついで買い(クロスセル・衝動買い)を誘うこと。だから顧客動線は長く設計します——磁石のように客を引きつける商品(マグネット。牛乳や特売品)を要所に散らして、店内を回遊させる。逆に従業員動線は短く——作業効率のためです。この「長く/短く」の対比が最頻出です。

レイアウトの2大型——グリッド型(碁盤の目。スーパー・コンビニ。目的買いに効率的)とフリーフロー型(自由曲線。アパレル・雑貨。回遊とブラブラ買い向き)。

店舗設計の合言葉顧客動線は長く・従業員動線は短く——効率のグリッド型・回遊のフリーフロー型
厳密に見る

VMDの3階層——VP・PP・IPの粒度を固めます

VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)は見せ方の設計を3階層で整理します——VP(ビジュアル・プレゼンテーション:ショーウィンドウなど店・売場全体の世界観を見せる)・PP(ポイント・プレゼンテーション:棚の端やマネキンで商品群の代表を見せる)・IP(アイテム・プレゼンテーション:個々の商品を手に取りやすく陳列する)。世界観→代表→個品、と粒度が細かくなります。

棚の設計ではゾーニング(売場の区画割り)とフェイシング(棚の最前列に同一商品を何列並べるか——列を増やすほど視認性は上がるが、他商品のスペースを食うトレードオフ)が問われます。

結論が反転する分かれ目
グリッド型
碁盤の目のレイアウト
スーパー・コンビニ。目的買いに効率的・在庫管理もしやすい
フリーフロー型
自由曲線のレイアウト
アパレル・雑貨。回遊性が高くブラブラ買いを誘う
分かれ目 「効率のグリッド・回遊のフリーフロー」。業態との対応(スーパーにフリーフロー等)を入れ替える肢が定番です。
ここで間違える

動線の長短の逆転と、VP/PP/IPの粒度の入れ替えが定番です

定番の誤り肢は「顧客動線・従業員動線は、ともに短く設計することが望ましい」——誤り。短くするのは従業員動線だけで、顧客動線はむしろ長く——滞在と接触を増やすのが売場の狙いです。

VMDでは粒度の入れ替え——「IPとは店舗全体のコンセプトを表現する演出をいう」(誤り——それはVP。IPは個々の商品の陳列)。V=全体・P=群の代表・I=個品、と頭文字で固定してください。

実務では

売上不振の小売店で、レイアウト変更は仕入れを変えずにできる数少ない打ち手です。レジだけ済ませて帰れる導線になっていないか(マグネットの不在)、売りたい商品が死角にないか、フェイシングが売れ筋に配分されているか——POSデータ(次ユニット)と重ねると、「棚のどこを変えるか」が数字で決まります。改装費ゼロの並べ替えで客単価が動くのが、売場の科学の面白さです。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。売場は「顧客動線は長く・従業員動線は短く」を大原則に、効率のグリッド型か回遊のフリーフロー型を選び、VMDはVP(全体の世界観)→PP(群の代表)→IP(個品の陳列)の3階層で見せ方を設計します。次は売れ行きを測る数字——POS・PI値と商品管理の指標へ続きます。