生産方式 — 聞いてから作るか、先に作っておくか
オーダーメイドのスーツは、採寸してから仕立てます——在庫はゼロ、でも手元に届くまで数週間。ユニクロのTシャツは、先に大量に作って店頭に積んである——今すぐ買える、でも予測が外れれば在庫の山。
「聞いてから作る」か「先に作っておく」か。この一つの分かれ目に、生産管理の基本対立が全部詰まっています。
生産管理は何を目標とし、受注生産と見込生産では何がトレードオフになるのでしょうか。
目標はQCD——良く・安く・早く、です
生産管理の目標はQCD——Quality(品質)・Cost(原価)・Delivery(納期)。拡張版のPQCDSMEは、これにProductivity(生産性)・Safety(安全)・Morale(士気)・Environment(環境)を加えた7文字です。
作り方の第一の分かれ目が受注生産(注文を受けてから作る——スーツ型。在庫リスクは低いが納期=リードタイムは長い)と見込生産(需要を予測して先に作る——Tシャツ型。すぐ渡せるが在庫リスクが高い)。リスクと納期のトレードオフです。
量による分類——個別・ロット・連続の3段階です
生産量・品種による分類は3段階——個別生産(1品ごとに設計・製造。受注生産と親和的)・ロット(バッチ)生産(ある程度の量をまとめて生産。段取り替えを挟んで品種を切り替える)・連続(ライン)生産(同一品種を流れ作業で大量生産。見込生産と親和的)。
多品種少量なら個別・ロット寄り、少品種多量なら連続寄り——品種の多さと量は反比例の関係で、どの組み合わせを選ぶかが生産戦略の出発点になります。
リードタイムと在庫リスクの高低を入れ替える肢が定番です
定番の誤り肢は「受注生産は見込生産に比べ、納品までのリードタイムが短い」——誤り。注文を聞いてから作り始めるのだから、待たせる時間は長くなります。その代わり売れ残りの心配がない——納期と在庫リスクは裏表です。
「見込生産は在庫リスクが低い」も同じ型の誤り。スーツとTシャツの絵で覚えていれば、高低の入れ替えは即座に切れます。
「納期が長いと苦情が来る。かといって作り置きは怖い」——町工場の定番の悩みは、受注と見込の中間解で答えます。共通部品までは見込で作っておき、注文が来てから最終仕上げをする(半見込生産)——リードタイムを縮めつつ在庫リスクを部品段階に抑える設計は、生産方式の語彙があって初めて提案できる打ち手です。
冒頭の問いに答えます。生産管理の目標はQCD(品質・原価・納期)で、受注生産は在庫リスクが低い代わりに納期が長く、見込生産は納期が短い代わりに在庫リスクが高い——量の分類(個別・ロット・連続)と重ねて生産の型が決まります。次は「何を・いくつ・いつまでに」の逆算——生産計画とMRPへ。