ABC分析 — 100品目を同じ精度で管理してはいけません
ネットショップで100種類の商品を売っているとします。売上の大半は上位の2割の商品が稼いでいて、ボールペンのゴム蓋のような下位の品目は、あってもなくても数字がほぼ動かない——。
なら、100品目を同じ精度で管理するのは間違いです。濃淡を付ける——その道具がABC分析で、パレートの法則(80:20)の在庫管理への応用です。
多数の在庫品目に管理の濃淡を付けるには、何を軸にどう分類すればよいのでしょうか。
金額の大きい順に並べ、累積で線を引きます
やることは3手——品目を使用金額(または売上金額)の大きい順に並べ、累積構成比を計算し、線を引いてA・B・Cの3グループに分ける。
目安は——A品目=品目数の約10〜20%で金額の約70〜80%を占める主役たち。欠品させない厳密管理(定期発注・細かい需要予測)。B品目=中位、中程度の管理(定量発注)。C品目=品目数の約40〜50%を占めるのに金額は約5〜10%——年1回のまとめ買いやダブルビン法の簡易管理で十分です。
「品目数と金額の非対称」が理屈の核心です
ABC分析の根っこはパレートの法則——結果の大部分は少数の原因から生まれる、という経験則です。品目数の比率と金額の比率が非対称だからこそ、全品目一律の管理は「Aには粗すぎ、Cには過剰」になる——濃淡を付けることが合理的になります。
数値はあくまで目安です(A=10〜20%で70〜80%など、教科書により幅があります)。試験では比率の数字を入れ替えた肢が出ますが、「少数の品目が大半の金額」という非対称の向きさえ固定していれば判定できます。
比率の入れ替えと、PPMとの混同が定番です
定番の誤り肢は比率の入れ替え——「C品目は品目数の10%程度だが金額の70%を占める」(誤り——それはA品目の姿。Cは多数で僅かな金額)。数字の暗記より非対称の向きで覚えるのが安全です。
もう1つはPPMとの混同——どちらも「分類の道具」ですが、ABC分析は在庫品目を金額で、PPM(経営理論)は事業を市場成長率×シェアで分類します。軸がまったく違う別物です。
在庫改善の第一歩は、システム導入でも棚の整理でもなく、ABC分析の1枚です。売上データを金額順に並べ替えるだけ——ExcelでもPOSの出力でも30分でできる。A品目の欠品履歴とC品目の滞留在庫が見えた瞬間、「何から手を付けるか」の合意が取れます。診断の初日に出せる、費用ゼロで説得力最大の資料です。
冒頭の問いに答えます。使用金額の大きい順に累積構成比で並べ、少数で金額の大半を占めるA品目は厳密管理(定期発注)、多数で金額僅かなC品目は簡易管理——品目数と金額の非対称(パレートの法則)が濃淡の根拠です。これで生産管理の土台5本が揃いました——次は計算の主戦場、EOQとライン編成効率へ続きます。