VE — 価値は「機能÷コスト」の割り算で測ります
「水を持ち運ぶ」という機能で比べます。5,000円の高級タンブラー(機能100点とします)と、100円のペットボトル(機能80点)——どちらが「価値が高い」か。
VEの答えは割り算です——タンブラーは100÷5,000=0.02、ペットボトルは80÷100=0.8。価値=機能÷コスト。この1本の式と、機能の定義の作法が試験の的です。
同じ価値を保ったまま、コストをどう下げればよいのでしょうか。
V=F/C——価値を上げる道は1つではありません
V(価値)=F(機能)÷C(コスト)(マイルズがGEで考案)。この式が教えるのは、価値を上げる道が複数あることです——機能を保ってコストを下げる、コストを保って機能を上げる、コストを少し上げてでも機能を大きく上げる。「安くする」だけがVEではありません。
出発点は機能の定義——対象を「名詞+動詞」で言い直します(タンブラー→「水を・持ち運ぶ」「温度を・保つ」)。モノではなく機能から考え直すから、「そもそもこの部品は要るのか」という根本の代替案に届くのです。
基本機能と2次機能、Job Planの手順を固めます
機能には階層があります——製品の存在理由である基本機能(タンブラーなら「水を持ち運ぶ」)と、それを補助・魅力づけする2次機能(「温度を保つ」「見た目が良い」)。コスト削減の検討では、基本機能を壊さずに2次機能のコストを疑うのが定石です。
進め方の型がジョブプラン——情報収集→機能定義→機能評価(機能ごとのコストと価値の照合)→代替案の創造→代替案の評価→実施。「機能定義が先、アイデア出しは後」という順序に意味があります——先に案を出すと、既存のモノの改良に縛られるからです。
V=C/Fの分子分母逆転と、「VE=単なるコストダウン」が定番です
定番の誤り肢は公式の分子分母の逆転——「価値=コスト÷機能」。V=F/C——機能が分子です。「価値の高い物=機能あたりのコストが安い物」と意味で覚えれば逆転しません。
「VEとは製品のコストを一律に削減する活動」も誤りの典型——機能を犠牲にした値切りはVEではなく、機能÷コストの比率を上げるのがVE。機能向上side(コスト据え置きで機能を上げる)もVEに含まれます。
原価低減の相談で、部材の値切り交渉から入ると行き詰まります。VEの問い——「この部品は何の機能のためにあるのか」——から入ると、材質変更・部品統合・そもそも不要、という桁違いの代替案が出てくる。「名詞+動詞で言い直す」だけの道具ですが、設計変更を伴う本質的なコストダウンは、たいていこの問いから始まります。
冒頭の問いに答えます。価値=機能÷コスト(V=F/C)——機能を名詞+動詞で定義し、基本機能を守りながらジョブプラン(機能定義→評価→代替案)で比率を上げるのがVEです。単なる値切りとは別物。現場改善の3点セット(5S・JIT・VE)が揃いました——次は売場の科学、商圏分析へ。