与件文の読み方 — 先に読むのは、与件文ではなく設問です
2次試験の与件文は、A4で数ページ、時に数千字に及びます。この分量を80分で読み、設問に答え、見直しまで終える——一文目から順番に読み始めると、最後の設問にたどり着く前に時間が足りなくなります。
合格者の答案には、読み方の順番に共通した型があります。与件文を読む前に、まず設問を読むのです。
与件文はどんな順序・道具立てで読み、80分をどう配分するのが合格者の型なのでしょうか。
設問を先に読み、段落の役割を知ってから与件文に入ります
2次試験の第一歩は、与件文の1行目からではありません。まず設問を読み、「誰が」「何を」「なぜ」問われているかを確認します。設問の動詞は解答の型を教えてくれます——「述べよ」「説明せよ」なら結論+理由、「提案せよ」「助言せよ」なら施策内容+期待効果、「分析せよ」「検討せよ」なら複数観点からの比較検討、「理由を述べよ」なら主たる理由の複数列挙、「問題点を指摘せよ」なら問題点+根拠です。あわせて制約条件——対象(「A社として」)・範囲(「人事施策について」)・方向性・字数——を赤ペンで囲みます。字数は最大の制約で、指定の80〜100%を使うのが鉄則とされます。
そのうえで与件文を読むと、段落の役割が見えてきます。多くの与件文は企業概要(業種・規模・歴史)→沿革(過去の成功体験)→現在の強み→現在の課題→外部環境の変化→今後の展望・相談事項という並びで書かれています。設問を先に知ってから読むと、この並びのどこに「答えの材料」が置かれているかが掴みやすくなる——これが合格者の型です。
印をつけながら読み、時系列で束ね直すと、答えの骨格が見えてきます
与件文を読み進める段階では、事実を印で仕分けます——強み・プラス要素には○(「高い技術力」「長年の信頼」等)、弱み・課題には△(「属人的」「後継者がいない」等)、需要拡大や法改正など外部のプラス要素には□、競合参入や人口減少など外部のマイナス要素には×、そして因果関係には→を引きます。設問に対応しそうな箇所には★と設問番号を書き添え、あとで見返せるようにします。
印をつけ終えたら、過去(成功体験・強みの源泉)→現在(環境変化・問題点)→将来(解決策)という時系列で事実を束ね直します。この時系列こそが、多くの解答の骨格になります——過去の強みが今なぜ活かせていないか、それをどう立て直すか、という一本の筋です。
並びを絶対のテンプレと思い込むこと、骨子を飛ばすことが的です
定番の落とし穴は、与件文の並び(企業概要→沿革→強み→課題→外部環境→展望)を絶対の型だと思い込むことです。多くの与件文がこの順で書かれる、という傾向にすぎません——設問を読まずに与件文だけを一気読みすると、この傾向を確かめる手間すら省いてしまい、あとから対応箇所を探し直す羽目になります。
もう一つの的は、骨子作成を飛ばしていきなり解答を書き始めることです。読み終えてすぐペンを動かしたくなりますが、各設問の解答骨子(キーワード3〜5個)を先に余白へ書き出し、骨子どうしの矛盾を確認する数分を惜しむと、書き終えてから矛盾に気づき、書き直す時間の方が高くつくとされます。
試験当日のあなたの80分は、次のように動きます。0〜1分で設問数・配点を確認し、1〜6分で全設問を精読して制約条件を赤ペンで囲みます。6〜21分で与件文を精読し、○△□×→★でマーキングしながら設問番号を対応箇所に書き込みます。21〜26分で各設問の解答骨子(キーワード3〜5個)を余白に作り、26〜30分で骨子どうしの矛盾がないかを一貫性チェックします。30〜70分で配点の高い設問から解答を記述し、70〜78分で因果関係の明示・キーワードの補強・字数調整を行い、78〜80分で空欄と設問番号のズレを最終確認します。骨子作成の数分を惜しまないことが、80分全体の質を決めるとされます。
冒頭の問いに答えます。与件文は設問を先に読み、動詞と制約条件を確認してから、企業概要→沿革→強み→課題→外部環境→展望の並びを手がかりに読みます。読みながら○△□×→★で印をつけ、過去→現在→将来の時系列で束ね直す——これが合格者の型です。80分は設問把握→精読→骨子作成→記述→見直しの流れで配分します。次は、この骨子をどう答案の文章に変えるか——PREP法の変形とキーワード加点の仕組みへ。