落ちる答案の6パターン — 根はひとつ、与件文から離れること
中身は間違っていないのに、点が伸びない答案があります。中小企業診断士2次試験の再現答案分析では、同じ落とし穴に繰り返しはまる型が指摘されています。
その型は6つに整理できます——知識ひけらかし・制約条件無視・一設問偏重・事例間矛盾・断定表現・一面的深掘りです。
なぜこの6つの解答パターンは点が伸びず、どう直せばいいのでしょうか。
6つの型は、根っこが1つ——与件文から離れて答えることです
点が伸びない答案の6パターンは、知識ひけらかし・制約条件無視・一設問偏重・事例間矛盾・断定表現・一面的深掘りに整理できます。名前は別々ですが、根はひとつ——与件文という唯一の論拠から離れてしまうことです。
知識ひけらかしは、与件文に書かれていない知識で埋める型です。「OKR導入」「ホラクラシー型組織へ移行」のような具体的な手法名を与件文の根拠なしに持ち込む答案は、0点評価になり得るとされます。使ってよいのは、STP・4P・VRIOのような枠組みまで——枠組みは思考の道具であり、固有名詞の手法は与件文の裏付けが要る知識自慢です。制約条件無視は、設問が指定した対象(「A社として」)・範囲(「人事施策について」)・方向性(「問題点を指摘せよ」)を読み飛ばして答える型です。内容が的確でも、対象や範囲がずれれば得点の土台自体を外してしまいます。
残る4つも、与件文と設問の構造から離れた分だけ沈みます
一設問偏重は、得意そうな設問にだけ時間と字数を注ぎ、他の設問を薄くする、あるいは時間切れで空欄にする型です。合格基準は4事例の合計240点以上(400点満点の60%)に加えて各科目40点以上(足切り)——一設問への偏りは、他設問の得点機会と足切り回避を同時に危うくします。事例間矛盾は、設問どうしのつながりが崩れる型です——設問1で指摘した問題点が設問2以降の施策で解決されていない、事例IIでSTPの結果が4Pの提案に反映されていない、事例IIIで問題点が施策で解消されていない、といったねじれです。診断士の答案は一つの会社への一貫した診断書であり、設問間の矛盾は診断そのものの説得力を崩します。
断定表現は、与件文の根拠なしに「〜すべきである」と言い切る型です。診断士の答案は与件文の事実を論拠にした提案・助言であって、自分の意見の断定ではありません。一面的深掘りは、配点30点以上の「多面的な記述」を求める設問で、一つの観点だけを深掘りする型です。配点30点なら120〜150字で2〜3つの論点が目安とされ、一つの観点だけでは部分点にとどまりやすいとされます。
見直しの数分こそ、6パターンを自分でつかまえる最後の機会です
この6つは、書いている本人には気づきにくいという共通の性質があります——知識ひけらかしは「詳しいことを書けた」という達成感を伴い、断定表現は「言い切った方が説得力がある」という思い込みを伴い、一面的深掘りは「掘り下げられた」という手応えを伴うからです。手応えの強さは、点の高さの証拠ではありません。
見直しの段階で使う自己チェックの型は明確です——この一文は与件文のどの言葉に対応するか、指させるか。指せない一文は知識ひけらかしか断定表現の疑いがあります。設問の対象・範囲・字数を満たしているか。満たしていなければ制約条件無視です。他の設問の解答と矛盾していないか。していれば事例間矛盾です。字数に見合う論点数があるか。不足していれば一面的深掘りです。
試験当日、答案を書き終えた後の見直し時間は、この6パターンの自己点検にそのまま使えます——各設問の最初の一文を読み返し、「与件文のどの言葉に対応するか」を指させるかを確かめてください。指せた一文は残し、指せない一文だけを削って与件文の言葉に差し替える——見直しの数分でできる、効果の高い修正とされます。
冒頭の問いに答えます。点が伸びない6パターン(知識ひけらかし・制約条件無視・一設問偏重・事例間矛盾・断定表現・一面的深掘り)は、すべて与件文という論拠から離れることで生まれ、見直しで「与件文のどの言葉に対応するか」を自問すれば多くは自分で見つけられます。次は、それでも時間が足りなくなったとき——多年度受験生の罠と、緊急時の対応へ。