無差別曲線 — 「同じくらい満足」をつなぐと、原点に凸の曲線になります
「ラーメン5杯+映画2回」の1か月と、「ラーメン3杯+映画3回」の1か月。どちらでも満足度が同じなら、この2つの組み合わせは、あなたにとって交換可能です。
同じ満足度の組み合わせを全部つないだ線が無差別曲線——消費者理論の作図の土台です。試験は「なぜ原点に凸か」と「4つの特性」、そして直線とL字の例外で突いてきます。
無差別曲線はなぜ原点に対して凸の形になり、どんな特性を持つのでしょうか。
たくさん持つほど、1杯の値打ちが下がるからです
ラーメンを月5杯食べている人にとって、6杯目の1杯はさほど貴重ではありません。逆に月1杯しか食べられないなら、その1杯は手放しがたい。たくさん持っている財ほど、追加の1単位の値打ちが下がる——だからラーメンをもう1杯得るために手放してよい映画の回数は、ラーメンを持てば持つほど減っていきます。
この「もう1杯のために手放してよい映画の回数」が限界代替率(MRS)——無差別曲線の傾きの大きさで、右へ行くほど逓減します。この逓減こそが、曲線を原点に対して凸にする正体です。
4特性の理屈と、直線・L字になる2つの例外を固めます
4特性はどれも理屈で復元できます。①右下がり——片方を減らして満足度を保つには他方を増やすしかない。②原点に凸——限界代替率 MRS=MUx/MUy が逓減する。③交差しない——交差すると、その1点が2つの異なる効用水準を同時に持つ矛盾が生じる。④右上の曲線ほど効用が高い——両方の財が多いほど満足も大きい。
例外が2つ。完全代替財(500円玉1枚と100円玉5枚のように、常に一定レートで交換できる組み合わせ)では無差別曲線は直線に、完全補完財(右手と左手の手袋のように、片方だけ増えても意味がない組み合わせ)ではL字型になります。
「無差別曲線は交差しうる」と、直線・L字の入れ替えが定番です
定番の誤り肢は「同一人物の無差別曲線は交差することがある」——交差した点は2つの効用水準を同時に持つことになり矛盾します。1つの点を通る無差別曲線は1本だけです。
例外ペアの入れ替えにも注意——「完全補完財の無差別曲線は直線」は誤り(直線は完全代替財、L字が完全補完財)。手袋は右手だけ5枚あっても意味がない、とイメージで固定してください。
無差別曲線そのものを顧客に見せる場面はありませんが、「顧客は何と何を天秤にかけているか」という発想は価格設定の相談で生きます。ランチセットの「ご飯大盛り無料」と「ドリンク付き」のどちらが刺さるか——顧客の中の交換レート(限界代替率)を探る質問は、メニュー改定の定石です。
冒頭の問いに答えます。無差別曲線が原点に凸なのは、たくさん持つ財ほど追加1単位の値打ちが下がる(限界代替率が逓減する)からで、右下がり・交差しない・右上ほど高効用の4特性を持ちます(完全代替=直線・完全補完=L字が例外)。次は財布の限界——予算制約線と重ねると、最適な買い物が決まります。