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経済学・経済政策 / 市場と価格の理論市場
市場と価格の理論 1/5 / 約5分

費用曲線 — 平均点の法則で、U字と最適生産量が読めます

たこ焼き屋の1個あたりコストは、作る量を増やすと最初は下がり、あるところから上がり始めます——1人で500個も焼こうとすれば、疲れてミスが増えるからです。このU字カーブと、「もう1個焼くべきか」の判断ルール。生産者理論の心臓部は、この2つだけです。

U字の理屈は、テストの平均点と同じ構造で説明できます。

この5分の問い

なぜ平均費用はU字型になり、企業は何を基準に「もう1個作るか」を決めるのでしょうか。

直感でつかむ

平均より高い1個を作れば、平均は上がります

費用の登場人物を並べます。固定費(TFC)=家賃のように作らなくてもかかる費用。変動費(TVC)=材料費のように作るほどかかる費用。1個あたりに直した平均費用(AC)と、「もう1個作るのに追加でかかる費用」=限界費用(MC)

U字の説明は平均点のたとえが最短です。テストで平均より高い点を取れば平均は上がり、低ければ下がる——同じように、次の1個のコスト(MC)が平均(AC)より安いうちはACは下がり続け、MCがACを上回った瞬間からACは上がり始めます。だからMC曲線はAC曲線の最低点を貫きます

費用曲線の合言葉MC<ACならACは下がり、MC>ACなら上がる。MCはACの底を貫く
厳密に見る

作る量の判断は「MR=MCで止める」の1行です

「もう1個作るべきか」の判断は、もう1個の収入(限界収入MR)ともう1個の費用(MC)の比較です。MR>MCなら作るほど儲かるので増産、MR<MCなら作るほど損なので減産——利潤が最大になるのはMR=MCの点です。

完全競争市場では、個々の企業は市場価格Pを受け入れるしかない(価格受容者)ので、もう1個売った収入は常にP——つまりP=MRです。したがって完全競争の利潤最大化条件はP=MC。「価格が限界費用に一致するまで作る」という、余剰分析で見た効率性の条件がここから出てきます。

費用曲線の家族も整理します。平均固定費(AFC=TFC/Q)は作るほど薄まり逓減し続け、平均変動費(AVC)とACはU字、ACはAVCより常に上(AFCの分)です。

結論が反転する分かれ目
AC(平均)
これまでの合計÷個数
U字型。固定費の頭割り分を含む
MC(限界)
次の1個の追加費用
U字型。ACの最低点を下から上へ貫く
分かれ目 MCがACより下ならACは下がり、上なら上がる——平均点の法則。関係を逆にした肢が定番です。
ここで間違える

「MC>ACのとき、ACは下降する」——向きの反転が定番です

平均と限界の関係を逆にする肢が最頻出です。MC>ACならACは上昇(平均より高い点を取れば平均は上がる)。反転肢に出会ったら、平均点のたとえで向きを再現してください。

もう1つは増減産の判断です。「MR>MCのとき減産すべき」——誤り。もう1個の収入が費用を上回っているのだから増産です。MRとMCのどちらが「収入側」かを取り違えさせる、シンプルですが効く罠です。

実務では

「忙しくなってきたし、値段そのままでもっと受注していい?」。この判断の物差しが限界の発想です。追加の1件にかかる本当の追加コスト(残業代・外注費)と追加の収入を比べる——固定費を頭割りした「1個あたりコスト」で判断すると、儲かる受注を断ったり、損する受注を受けたりします。MRとMCで考えるのは、診断の現場でそのまま使える思考法です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。ACのU字は「平均と次の1個」の関係から生まれ(MCがACの底を貫く)、生産量はMR=MCで止めるのが最適——完全競争ならP=MCです。次のユニットは、この理屈の続きで「赤字でも開けるべき店」を見分けます。操業停止点です。