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経済学・経済政策 / 経済学の応用経済
経済学の応用 3/5 / 約5分

物価指数 — 買い物かごの「年式」が、指数の型を決めます

「名目GDPは増えたが、実質GDPは横ばい」。この差を作るのが物価で、物価を測る代表選手がGDPデフレーターCPI(消費者物価指数)です。似た顔をしていますが、実は買い物かごの年式が違います。

今年のかごで測るか、去年のかごを固定して測るか——この1点が「パーシェ型か、ラスパイレス型か」という頻出の正誤問題になります。

この5分の問い

GDPデフレーターとCPIは何が違い、なぜ前者はパーシェ型・後者はラスパイレス型と呼ばれるのでしょうか。

直感でつかむ

デフレーターは「今年のかご」、CPIは「去年のかご」で測ります

GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP×100。名目は「今年の価格×今年の数量」、実質は「基準年の価格×今年の数量」——分子・分母とも今年の数量(今年のかご)を使うので、パーシェ型です。

CPIは、基準年に決めた買い物かご(基準年の数量)を固定し、その中身の値段の変化だけを追います——ラスパイレス型です。かごを固定すると、値上がりした品から安い代替品への乗り換え(代替効果)を無視するため、体感より物価上昇を過大に測りやすいという癖があります。

物価指数の合言葉デフレーター=今年のかご(パーシェ)/CPI=去年のかご固定(ラスパイレス)
厳密に見る

実質GDPへの換算を1回計算し、関連指標を並べます

換算式は実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター×100。名目GDP550兆円・デフレーター110なら、実質GDP=550÷110×100=500兆円。「名目の膨らみをデフレーターで萎ませる」の1手です。

GDPの親戚も並べて固定します。GNI=GDP+海外からの純要素所得(国民の稼ぎ)。NDP=GDP−固定資本減耗。GDPが「国内で」生まれた付加価値、GNIが「国民が」稼いだ所得——場所か人かの違いです。

結論が反転する分かれ目
GDPデフレーター
パーシェ型(今年の数量)
名目GDP÷実質GDP×100。対象はGDPに含まれる財・サービス全体
CPI
ラスパイレス型(基準年の数量を固定)
家計の買い物かご。代替効果を無視し物価上昇を過大評価しやすい
分かれ目 型の貼り替えが最頻出。「かごの年式」(今年か基準年か)から型を自力で導けるようにしておきます。
ここで間違える

「GDPデフレーターはラスパイレス型」——型の入れ替えが最頻出です

この論点の出題は、パーシェとラスパイレスの貼り替えにほぼ集中します。「GDPデフレーターは基準年の数量をウェイトとするラスパイレス型の物価指数である」——誤り。かごの年式(分子・分母とも今年の数量)から自力で導けるようにしておくと、暗記が崩れても復元できます。

もう1つは癖の混同です。代替効果を無視して物価上昇を過大評価しやすいのはラスパイレス型(CPI)。デフレーター側に貼り替えた肢が対になって並びます。

実務では

「ニュースの物価と、うちの仕入れの体感がずれてるんだよな」。CPIは家計の買い物かご、企業の仕入れなら企業物価指数、経済全体ならデフレーター——どの「かご」の話かで数字は変わります。価格転嫁の交渉資料にどの指数を引くかを選べるのは、この違いを知っている人だけです。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。GDPデフレーターは今年のかご(パーシェ型)、CPIは基準年のかご固定(ラスパイレス型)で、後者は代替効果を無視して物価上昇を過大に測りやすい。実質GDP=名目÷デフレーター×100。次のユニットからは人間の側の「非合理」へ——2021年以降毎年出題の行動経済学です。