組織構造 — 万能の形はなく、環境が正解を決めます
学園祭の運営を思い浮かべてください。広報班・財務班・設営班と仕事の種類で分けるやり方。文化祭と体育祭にそれぞれ独立した実行委員会を持たせるやり方。広報班に所属しながらステージ企画にも顔を出すやり方——どれも実在する組織の形です。
ではどの形が「正解」か。組織論の答えは「環境による」——この一言を理論にしたのがコンティンジェンシー理論です。
組織構造の基本形態はそれぞれ何が得意で、「最適な形」は何によって決まるのでしょうか。
仕事で分けるか、事業で分けるか、両方に属するか
機能別組織は製造・営業・経理と仕事の種類で分ける形——専門化の効率が武器ですが、部門間の壁ができ、全社視点の意思決定はトップに集中します。事業部制組織は製品や地域など事業で分け、各事業部が利益責任を持つ形(プロフィットセンター)——意思決定が速く多角化に向く一方、機能の重複でコストは増えます。
マトリックス組織は両方の軸に同時に属する形——資源を共有できる代わりに、上司が2人になるツーボス問題(命令一元性の崩れ)を抱えます。
「環境が形を決める」——機械的組織と有機的組織の対で覚えます
コンティンジェンシー理論は「唯一最善の組織は存在せず、環境との適合が成果を決める」という立場です。バーンズ&ストーカーは、安定した環境には機械的組織(規則・階層・明確な分業)が、変化の激しい環境には有機的組織(柔軟な役割・水平的な調整)が適合するとしました。ローレンス&ローシュは環境の不確実性に応じた分化と統合のバランスを、ウッドワードは生産技術と組織構造の適合を示しています。
このほか、事業部制の中で戦略単位を括り直すSBU(戦略事業単位)、革新のための流動的なアドホクラシー(ミンツバーグ)も肢に登場します。
「事業部制はコスト効率が最も高い」——長所の付け替えが定番です
定番の誤り肢は長所の付け替えです。「事業部制組織は機能の重複がなくコスト効率に優れる」——誤り。事業部ごとに営業も経理も持つため機能は重複し、コストはむしろ増えます。コスト効率・専門化は機能別組織の長所です。
環境との適合も逆向きの肢が出ます——「変化の激しい環境では、規則と階層が明確な機械的組織が適合する」は誤り。安定=機械的・激変=有機的の対応を崩さないでください。
「組織図を作り直したい」という相談は、実は診断士の定番業務です。社長が全部門に直接指示を出して現場が混乱している会社(命令一元性の崩れ)、新規事業が既存部門の間で宙に浮いている会社(分化に統合が追いつかない)——症状を組織論の語彙に翻訳できると、処方箋の説得力が変わります。「御社の環境は安定型ですか、激変型ですか」が最初の問診です。
冒頭の問いに答えます。機能別=専門化の効率、事業部制=速い意思決定と利益責任(ただし機能重複でコスト増)、マトリックス=二軸共有とツーボス問題——そして最適な形は環境が決めます(安定=機械的・激変=有機的)。器の次は、そこに集まる人——組織が組織として成立する条件をバーナードが定義します。