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企業経営理論 / 組織と動機づけ組織
組織と動機づけ 6/6 / 約5分

公平理論 — 「隣の時給」が、やる気を左右します

時給1,000円で働くあなたが、同じ仕事をしている同僚の時給が1,200円だと知った瞬間——昨日まで普通に働けていたのに、急にやる気が萎える。仕事も時給も昨日と何も変わっていないのに、です。

人は「自分の損得」だけでなく「他人との比率の釣り合い」で動く——公平理論です。このユニットでは、マズロー・ハーズバーグ・期待理論に続くモチベーション理論の残りの主要プレーヤーをまとめて仕分けます。

この5分の問い

「同じだけ働いているのに待遇が違う」と感じたとき、人はどう反応するのでしょうか。

直感でつかむ

比べているのは金額ではなく「投入と見返りの比率」です

アダムスの公平理論では、人は自分の投入(労力・時間・能力)と産出(給与・承認)の比率を、比較対象となる他者の比率と見比べます。比率が釣り合わないと不公平感が生まれ、それを解消する方向に行動する——手を抜く(投入を減らす)、見方を変える(認知をゆがめる)、比較相手を変える、あるいは辞める。

ポイントは「過大でも不公平感は生じる」点——もらいすぎもまた、居心地の悪さや投入の増加を生むとされます。

公平理論の合言葉自分の投入:産出の比率を他者と比較——不均衡が不公平感と調整行動を生む(アダムス)
厳密に見る

X理論Y理論・ERG・達成動機・アンダーマイニングまで仕分けます

マクレガーのX理論・Y理論——X理論(人は本来働きたがらない→命令と統制)とY理論(人は条件次第で自ら働く→自律性の尊重と目標による管理)は、人間観の対です。アルダーファのERG理論——マズローの5段を存在(E)・関係(R)・成長(G)の3つに再編し、複数の欲求が同時に働きうる・上位が満たされないと下位に戻る(挫折退行)点でマズローと違います。マクレランドの達成動機理論——達成・権力・親和の欲求で職務行動を説明します。

デシの内発的動機づけ——好きでやっていた活動に外的報酬を与えると、報酬が消えたとき活動自体をやめてしまうアンダーマイニング効果(絵を描いて100円もらえた子は、もらえなくなると描かなくなる)。逆に、賞賛などが内発的動機を強める方向はエンハンシング効果と呼ばれます。

結論が反転する分かれ目
アンダーマイニング効果
外的報酬が内発的動機を弱める
絵を描くのが好きだった子が、報酬が消えると描かなくなる(デシらの内発的動機づけ研究)
エンハンシング効果
賞賛などが内発的動機を強める
言語的な承認は内発的動機づけをむしろ高めうる
分かれ目 「報酬で動機が強まる=アンダーマイニング」と逆に書く肢が定番。弱める=アンダー、で固定します。
ここで間違える

提唱者の付け替えと、効果の名前の入れ替えが定番です

定番は「アージリスのX理論・Y理論」——誤り、マクレガーです(アージリスは成熟・未成熟理論の人)。モチベーション理論は登場人物が多く、理論と人名の付け替え肢が量産されます——階層のマズロー・2要因のハーズバーグ・掛け算のヴルーム・比率のアダムス・X/Yのマクレガー、と1対1で固定してください。

効果の名前では「報酬が内発的動機を強めることをアンダーマイニング効果という」が誤り——弱めるのがアンダーマイニング、強めるのがエンハンシングです。

実務では

賃金テーブルの相談で怖いのは、金額の絶対水準より「社内の見え方」です。中途採用者の初任給が既存社員を上回った瞬間、辞令は1枚でも職場全体の投入が静かに下がる——公平理論はこの現象に名前を与えます。「誰と比較されるか」まで設計に含めるのが、報酬制度の実務です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。人は投入と産出の比率を他者と比較し、不均衡(過小も過大も)が不公平感と調整行動を生みます(アダムス)。X/Yのマクレガー・同時作用のERG・達成動機のマクレランド・アンダーマイニングのデシまで仕分けて、動機づけ理論は完成です。次は人を率いる側——リーダーシップ理論の系譜へ。