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企業経営理論 / 経営戦略の型経営
経営戦略の型 5/5 / 約5分

3つの基本戦略 — サイゼリヤか、スタバか、一蘭か。中途半端が一番負けます

サイゼリヤは徹底した安さで勝ち、スターバックスは体験の違いで勝ち、一蘭はラーメン1本に絞って勝っています。では、サイゼリヤほど安くなく、スタバほどの違いもない、普通の喫茶店はどうなるでしょうか。

「どこにも勝てない」——この中途半端の末路に名前を付けたのが、ポーターの3つの基本戦略です。

この5分の問い

競争優位を築く基本戦略は何種類で、「中途半端」はなぜ最悪なのでしょうか。

直感でつかむ

安さで勝つか、違いで勝つか、土俵を絞るか——3択です

コスト・リーダーシップ=業界で最も低いコストを実現し、安さ(または同価格での高利幅)で勝つ(サイゼリヤ)。差別化=価格以外の価値——ブランド・体験・品質——で「高くても選ばれる」を作る(スタバ)。この2つは広い市場全体が土俵です。第3の道が集中——狭いセグメントに絞り、その土俵の中でコストか差別化で勝つ(一蘭)。

基本戦略の合言葉コスト・差別化(広い土俵)×集中(狭い土俵)の3類型。どれかを選び切る

そして有名な警告がスタック・イン・ザ・ミドル——どれも選ばない中途半端は、安さでも違いでも専門性でも負け、最悪の収益性に沈むという命題です。

厳密に見る

軸は「優位の源泉×土俵の広さ」——コトラーの4類型と区別します

3つの基本戦略の整理軸は、競争優位の源泉(低コストか差別化か)×戦略ターゲットの幅(業界全体か特定セグメントか)です。広い×低コスト=コスト・リーダーシップ、広い×差別化=差別化、狭い=集中(集中の中でコスト集中と差別化集中に分かれる、と扱われることもあります)。

混同相手はコトラーの競争地位別戦略(リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャー)です。ポーターは「どう勝つか(優位の源泉)」、コトラーは「どの立場から戦うか(業界内の地位)」——問いが違う別のフレームであり、提唱者のすり替え(この2人の入れ替え)が定番トラップです。

結論が反転する分かれ目
ポーター
3つの基本戦略(どう勝つか)
コスト・差別化・集中。軸=優位の源泉×土俵の幅
コトラー
競争地位別戦略(どの立場か)
リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの4類型
分かれ目 問いが違う別フレーム。人名と類型数(3つ/4つ)の対応を崩す肢が定番です。
ここで間違える

「二兎を追える」と言わせる肢と、コトラーとの混線が狙われます

「コスト・リーダーシップと差別化は容易に両立できるため、同時追求が望ましい」——ポーターの枠組みでは、二兎を追う中途半端(スタック・イン・ザ・ミドル)への警告が原則です(両立の議論はあるが、原則の理解を問うのが試験の水準)。原則の逆張り肢に注意してください。

もう1つは類型の帰属です。「ポーターの基本戦略=リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャー」——これは誤りで、それはコトラーです。ポーター=勝ち方3つ、コトラー=立場4つで固定します。

実務では

「近所の激安店にも、こだわりの専門店にも客を取られてる」。この挟み撃ちの正体がスタック・イン・ザ・ミドルです。診断の問いはシンプルになります——「御社はどちらで勝ちますか。安さですか、違いですか。それとも土俵を絞りますか」。選び切れていないことを言語化するだけで、価格設定も投資も広告も、議論が一本の軸に載ります。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。基本戦略はコスト・リーダーシップ/差別化/集中の3つで、軸は「優位の源泉×土俵の広さ」。どれも選ばない中途半端(スタック・イン・ザ・ミドル)が最悪の位置です。これで戦略の型5枚——何屋か(ドメイン)→どちらへ(アンゾフ)→どこに資金を(PPM)→業界は儲かるか(5F)→どう勝つか(基本戦略)——が繋がりました。続きは資源の内側から見るVRIOと、組織・マーケの理論群です。