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企業経営理論 / マーケティングの実践マー
マーケティングの実践 6/6 / 約5分

関係性マーケティング — 常連さんは「500円の客」ではありません

毎日500円使うコンビニの常連を「たかが500円の客」と見るか。500円×365日×10年=182.5万円——1回の取引ではなく、付き合い全体で顧客を測ると、景色が変わります。

新規獲得の連続から、既存顧客との長期的な関係へ——関係性マーケティングの発想と、それを支えるデジタルの道具(CLV・RFM・CRM・MA)がこのユニットの主役です。

この5分の問い

顧客と長期的な関係を築くには、どのデータをどう使えばよいのでしょうか。

直感でつかむ

1回の売上ではなく「生涯価値」で顧客を測ります

CLV(顧客生涯価値)——1人の顧客が関係の続く期間全体でもたらす価値で、目安は年間収益×利益率×顧客関係年数(冒頭の182.5万円は利益率を掛ける前の生涯売上——ここに利益率を乗じたものがCLVです)。この物差しを持つと、「新規に1万円かけて獲得した客が翌月離れる」ことの損失と、「常連の離脱を防ぐ施策」の価値が数字で比べられます。

優良客を見つける道具がRFM分析——Recency(最後に買ったのはいつか)・Frequency(何回買ったか)・Monetary(いくら使ったか)の3指標で顧客をスコアリングします。推奨の熱量を測るのがNPS——「勧めたい」推奨者の割合から批判者の割合を引いた値です。

関係性の合言葉CLV=生涯価値で測るRFM=最近・頻度・金額NPS=推奨者−批判者
厳密に見る

CRMとMA——「既存の関係管理」と「見込み客の育成」を区別します

デジタルの道具は役割で区別します。CRM——既存顧客との関係を管理する仕組み(購買履歴・接点の記録から、離脱防止や優良化の打ち手へ)。MA(マーケティング・オートメーション)——見込み客の育成(リードナーチャリング)を自動化する道具(資料請求者へ段階的にメールを送る等)。相手がすでに客か、まだ見込みか、で線が引けます。

顧客の旅路を設計する枠組みがカスタマージャーニー(認知→興味・関心→検討→購入→推奨)——各段階に接点と施策を割り付け、SEO・SNS・コンテンツマーケティングをこの地図の上に配置します。

結論が反転する分かれ目
CRM
既存顧客との関係管理
購買履歴・接点を記録し、離脱防止と優良化の打ち手へ
MA
見込み客の育成を自動化
リードナーチャリング——資料請求者への段階的な情報提供など
分かれ目 相手がすでに客(CRM)か、まだ見込み(MA)か——対象の違いで判定します。
ここで間違える

CRMとMAの取り違え、RFMとCLVの混同が定番です

定番の誤り肢は「MAとは既存顧客との長期的関係を管理するシステムである」——誤り、それはCRM。MAは見込み客の育成の自動化です。相手の違い(既存か見込みか)で切ってください。

RFMとCLVの役割も混同されます——RFMは3指標で顧客をスコアリングして仕分ける道具、CLVは生涯価値を金額で見積もる物差し。仕分けのRFM・金額のCLVです。

実務では

「常連が減った気がする」という小売の相談は、RFMの3指標を出すだけで解像度が一変します。POSやECの履歴から「90日買っていない元・優良客」を抽出できれば、打ち手は全員向けのチラシではなく、その数十人への再来店クーポンに変わる——CLVの物差しがあれば、その施策にいくらまでかけてよいかも決まります。データはあるのに使われていない、が中小企業の常——掘り起こすのが診断士の仕事です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。顧客は1回の売上でなくCLV(年間収益×利益率×関係年数)で測り、RFM(最近・頻度・金額)で優良客を見つけ、既存客はCRM・見込み客はMAで手入れし、NPSで推奨の熱量を測る——関係性マーケティングは「常連さんの価値」をデータの言葉にする体系です。これでマーケティングは完走——経営理論の残りは国際経営と企業の社会性です。