shikakuホームへ
企業経営理論 / マーケティングの土台マー
マーケティングの土台 4/5 / 約5分

関与とELM — マンションは中心ルート、お茶は周辺ルートで決まります

マンションを買うとき、人はモデルルームに3回通い、ローンを試算し、周辺の学区まで調べます。コンビニでお茶を買うとき、「いつもの伊右衛門でいいや」と3秒で決めます。

同じ「買う」でも、頭の使い方がまるで違う——この違いを説明するのが関与という概念と、情報処理の2ルートを描く精緻化見込みモデル(ELM)です。

この5分の問い

高い買い物と安い買い物で、人の情報処理の仕方はどう違うのでしょうか。

直感でつかむ

関与の高低が、中心ルートと周辺ルートを分けます

関与(インボルブメント)——その製品や購買が自分にとってどれだけ重要か、という個人的な関連性の深さです。マンションは高関与(高額・失敗できない・自己表現に関わる)、お茶は低関与。

精緻化見込みモデル(ELM)(ペティ&カシオッポ)は、説得が効く経路を2つに分けます——中心ルート:高関与のとき。内容そのものを丁寧に検討し、論拠の質が態度を決める。周辺ルート:低関与のとき。有名人が薦めている・パッケージが良い・みんな買っている、といった周辺的な手がかりで態度が決まる。

ELMの合言葉高関与=中心ルート(中身で説得)/低関与=周辺ルート(手がかりで説得)
厳密に見る

AIDMAとAISAS——「検索と共有」の有無で時代が分かれます

広告への反応の段階を描く態度変容モデルも、この論点とセットで出ます。AIDMA=Attention(注目)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)。AISAS(電通が提唱)=Attention→Interest→Search(検索)→Action→Share(共有)——インターネット時代に対応し、「調べる」と「買った後に共有する」が加わって、行動が購買で終わらない循環になりました。

AIDMAのM(記憶)とAISASのS・S(検索・共有)——どの字が入れ替わったかが、そのまま試験の的です。

結論が反転する分かれ目
中心ルート(高関与)
内容・論拠の質で態度が決まる
マンション・生産設備。スペックと事例が効く
周辺ルート(低関与)
周辺的な手がかりで態度が決まる
お茶・日用品。タレント・パッケージ・「売上No.1」が効く
分かれ目 「低関与=中心ルート」と逆に結ぶ肢が定番。じっくり検討=中心、なんとなく=周辺です。
ここで間違える

ルートと関与の対応の逆転、AIDMAとAISASの字の混同が定番です

定番の誤り肢は「低関与の消費者は、広告の論拠を精緻に検討する中心ルートで態度を形成する」——逆です。低関与は周辺ルート——お茶のCMに必要なのは緻密な論証ではなく、好感の持てるタレントと覚えやすい旋律です。

モデルの字面では「AIDMAのMはMotivation」(誤り——Memory)、「AISASは記憶(M)を含む」(誤り——MはSearchとShareに置き換わった)が典型です。

実務では

広告相談の第一問は「その商品、お客にとって高関与ですか」です。工作機械のカタログに周辺ルート(イメージ広告)は効かず、スペックと導入事例(中心ルート)が要る。逆に日用品のPOPに長文の論証は読まれない。関与の見立てを間違えた販促は、費用だけかかって刺さらない——ELMは広告費の配分を決める物差しになります。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。違いは関与の高低——高関与なら内容を精緻に検討する中心ルート、低関与なら手がかりで決まる周辺ルートです(ELM)。広告への反応はAIDMA(記憶)からAISAS(検索・共有)へ——時代とともにモデルも進化しました。次は商品そのものの一生——プロダクトライフサイクルへ。