シャイン — 「うちの会社っぽさ」は3層でできています
オフィスに滑り台がある会社。朝礼で「顧客第一」を唱和する会社。そして、誰も口にしないのに全員が知っている「上司には逆らうな」——この3つは、どれも「組織文化」ですが、深さがまったく違います。
シャインは文化を3つの層に分けました。そして深い層ほど見えにくく、変えにくい——組織変革の難しさの正体が、この層構造にあります。
組織文化はどんな層でできていて、どこが一番変えにくいのでしょうか。
見えるもの・語られるもの・語られない前提の3層です
表層が人工物(アーティファクト)——オフィスのつくり・服装・儀式・ロゴなど、目に見え耳に聞こえるもの。中層が信奉された価値観——「顧客第一」「挑戦を歓迎」など、意識的に掲げられ語られるもの。
そして最深層が基本的仮定——「上司に逆らうな」「失敗は隠すもの」のように、無意識のうちに当然とされ、誰も疑わない前提です。文化の核心はここにあり、目に見えず、本人たちも自覚していないため、最も変えにくい層です。
「掲げた価値観」と「本当の前提」のずれまで診るのがこのモデルです
3層モデルの効用は、層の間のずれを診断できることにあります。「挑戦を歓迎」と掲げながら(価値観)、失敗した者が左遷される(基本的仮定は「失敗は罰」)——このとき組織を実際に支配しているのは深い層の方です。信奉された価値観は、あくまで「そうありたい」の表明であって、行動を決めるのは基本的仮定——この非対称が試験でも実務でも要点になります。
変革の含意も問われます——スローガンの張り替えやオフィス改装(人工物の変更)だけでは文化は変わらず、基本的仮定に手が届いて初めて本物の変革になります。
「文化変革の要は人工物の変更」——層の重要度を逆にする肢が定番です
定番の誤り肢は「組織文化の変革で最も重要なのは、オフィスや制度など人工物を変更することである」——誤り。人工物は最も見えやすいが最も表層で、核心は基本的仮定です。
層の名前と中身の対応の入れ替えにも注意——「基本的仮定とは、意識的に表明された価値観をいう」は誤り(それは中層の信奉された価値観)。見える・語られる・語られないの3点で層を判定してください。
「理念を作り直したのに何も変わらない」という相談は、シャインの3層で説明がつきます。変わったのは中層(掲げる価値観)だけで、最深層の「うちは結局こうだ」という前提が手つかずだからです。診断の現場では、社長の言葉(価値観)ではなく、新人が3か月で学ぶ暗黙のルール(基本的仮定)を聞き出す——「この会社で怒られるのはどんなときですか」が、深層に触れる質問です。
冒頭の問いに答えます。組織文化は人工物(見える)・信奉された価値観(語られる)・基本的仮定(無意識の前提)の3層をなし、最も深く最も変えにくい基本的仮定が文化の核心です。では、その変えにくいものをどう変えるか——レヴィンの3段階変革モデルが手順を示します。