取適法 — 下請法は2026年、名前も基準も生まれ変わりました
「下請法」と覚えていた受験生ほど危ない論点です——2026年1月、下請法は「中小受託取引適正化法(取適法)」に生まれ変わりました。名前だけではありません。「親事業者・下請事業者」という呼び名が消え、適用の物差しに従業員数が加わり、手形払いが禁止されました。
改正直後の試験は「何が変わったか」を突いてきます——新旧の差分こそがこのユニットの主役です。
2026年施行の改正で、旧・下請法の何が変わり、何が維持されたのでしょうか。
呼び名・物差し・支払手段——3つ変わりました
①呼び名——「親事業者→委託事業者」「下請事業者→中小受託事業者」。「下請」という言葉の上下関係のニュアンスを改め、条文から「下請事業者」の語は消えました。②適用の物差し——従来の資本金基準(3億円超↔3億円以下・1千万円超↔1千万円以下)に、従業員数基準(300人超↔300人以下・100人超↔100人以下など)が加わりました——減資して資本金を下げれば規制を逃れられた抜け道を塞ぐ改正です。
③支払手段——手形の交付等による支払が禁止されました(現金化に時間とコストがかかる支払手段の一掃)。
維持されたもの——60日・書面・禁止行為の骨格です
旧法から維持された骨格も試験の的です——支払期日は受領から60日以内・発注内容の書面(電磁的方法)交付義務・書類の作成保存義務・支払が遅れたときの遅延利息(公正取引委員会規則で年14.6%)。そして禁止行為——受領拒否・支払遅延・代金減額・返品・買いたたき・購入強制・報復措置など——の枠組みです。
独禁法との関係も整理を——取適法は優越的地位の濫用(独禁法)の下請取引版を定型化した特別法。個別の立証なしに、資本金・従業員数の形式基準で機械的に守る設計が特徴です。
旧法の知識のまま解くと全部裏目に出ます
この論点の最大の罠は旧法の記憶そのものです——「親事業者・下請事業者」という呼称・「適用基準は資本金のみ」・「手形での支払も認められる」——いずれも改正前の姿で、基準日時点では誤りになります。
数値の改変も従来どおり出ます——「支払期日は受領後30日(90日)以内」(誤り——60日)・「遅延利息は年6%」(誤り——規則で年14.6%)。変わったもの3つ・残ったもの(60日・14.6%)の仕分けで固定してください。
この改正は診断士の顧問先の多く——受託側の中小企業——にとって朗報です。従業員数基準の追加で「減資した大企業」も規制対象に戻り、手形払いの禁止で資金繰りの重荷が減る。逆に委託側に回る中堅企業には、支払条件・発注書面の総点検が必要になった——「御社の支払サイト、新法に合っていますか」は2026年のいま、そのまま仕事になる問診です。
冒頭の問いに答えます。2026年1月施行の改正で、下請法は取適法へ——呼び名(委託事業者/中小受託事業者)・適用基準(従業員数の追加)・支払手段(手形禁止)が変わり、60日以内の支払期日・書面交付・禁止行為・遅延利息(規則で年14.6%)の骨格は維持されました。次は消費者を守る冷却期間——クーリングオフへ。