時効 — 権利には賞味期限があり、占有には収穫があります
20年前の飲み代を今さら請求されたら、領収書はとうにない——いつまでも請求できる社会は、かえって不安定です。だから権利には賞味期限(消滅時効)がある。逆に、他人の土地でも長く自分の物として使い続ければ自分の物になる(取得時効)こともあります。
試験の的は数字——5年・10年・20年の使い分けです。
権利はなぜ時効で消えたり得られたりし、期間はどう数えるのでしょうか。
消滅時効=知って5年・行使できて10年の早い方です
消滅時効(166条・2020年改正後)——債権は、①権利を行使できることを知った時から5年、②権利を行使できる時から10年——いずれか早い方の経過で時効にかかります。主観(知った)と客観(行使できる)の二本立てです。
取得時効(162条)——所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有し続けると、20年で所有権を取得します。占有開始時に善意無過失(自分の物と信じ、信じたことに過失がない)なら10年に短縮されます。
完成猶予と更新——時計は止まり、巻き戻ります
時効の進行は操作できます——完成猶予:裁判上の請求や催告などで、時効の完成が一時的に猶予される(時計が止まるイメージ)。更新:権利の承認(債務者が「払います」と認める)や確定判決などで、進んだ期間がゼロに戻る(巻き戻し)。2020年施行の改正で旧法の「中断・停止」からこの2概念に整理されました。
時効の利益を受けるには援用(時効を主張する意思表示)が必要——期間が過ぎただけでは自動的に消えず、「時効だ」と言って初めて効果が確定します。
5年と10年、10年と20年の入れ替えが定番です
定番の誤り肢は数字の入れ替え——「知った時から10年・行使できる時から5年」(主観と客観の年数が逆)・「取得時効は善意無過失なら5年」(誤り——10年)。消滅は5/10・取得は10/20の2セットを混ぜないでください。
「時効期間が経過すれば、援用がなくても債権は当然に消滅する」も定番の誤り——援用して初めて効果が確定します。
売掛金の管理は消滅時効との競走です——「知った時から5年」は請求書を出した日から静かに走っている。回収が滞った債権は、内容証明での催告(完成猶予)や債務承認書の取得(更新)で時計を操作しながら、法的手続の要否を判断します。時効管理の台帳がない会社は、気づいたら時効、が実際に起きる——督促の仕組み化は診断士が入れる典型の改善です。
冒頭の問いに答えます。消滅時効は知った時から5年・行使できる時から10年の早い方、取得時効は原則20年・善意無過失なら10年——完成猶予(止める)と更新(巻き戻す)で操作でき、援用して初めて効果が確定します。次は経営者の宿命の論点——保証の3タイプへ。