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経営法務 / 民法の骨格民法
民法の骨格 1/5 / 約5分

意思表示 — 脅された人がいちばん守られます

「本心ではなかった」契約の運命は、本心でなかった理由で変わります——冗談で言った人・グルで仮装した人・勘違いした人・だまされた人・脅された人。

並べてみると保護のグラデーションが見えます——自業自得に近いほど保護は薄く、脅された人がいちばん強く守られる。この序列が試験の的です。

この5分の問い

「本心ではなかった」意思表示は、それぞれどんな効果になるのでしょうか。

直感でつかむ

心裡留保→虚偽表示→錯誤→詐欺→強迫の5段です

心裡留保(93条・冗談)——原則有効。言った本人の自業自得です(相手がウソと知り、または知り得たときは無効)。通謀虚偽表示(94条・グルの仮装売買)——当事者間では無効、ただし事情を知らない善意の第三者には無効を対抗できません

錯誤(95条・勘違い)——2020年施行の改正で「無効」から取消し可能に変わりました。詐欺(96条)——取消し可能、ただし善意無過失の第三者には対抗できない強迫(96条)——取消し可能で、第三者にも対抗できます——脅された人には落ち度がないからです。

意思表示の合言葉保護の序列——強迫(第三者にも勝てる)>詐欺(善意無過失の第三者に負ける)・錯誤は改正で取消し
厳密に見る

詐欺と強迫の差——第三者への対抗が分かれ目です

だまされた人と脅された人はどちらも取り消せますが、取消し前に現れた第三者との関係で差が出ます——詐欺の被害者は「だまされた落ち度」を考慮され、善意無過失の第三者に取消しを対抗できない強迫の被害者には落ち度がなく、第三者が善意でも取消しを対抗できます

錯誤の改正は2020年施行(2017年成立)の債権法改正の代表論点です——旧法の「無効」(誰でもいつでも主張できてしまう)から、表意者を守るための取消し(本人側だけが主張でき、期間制限あり)へ整理されました。「錯誤は無効」は旧法の記述——現行法では誤りです。

結論が反転する分かれ目
詐欺(96条)
取消し可・善意無過失の第三者に負ける
だまされた側にも一定の落ち度——第三者保護が優先
強迫(96条)
取消し可・第三者にも勝てる
脅された人に落ち度なし——保護の序列の頂点
分かれ目 第三者対抗の入れ替えが定番の肢。「落ち度がないほど強い」の序列で判定します。
ここで間違える

「錯誤は無効」と、詐欺・強迫の対抗の入れ替えが定番です

最頻出の誤り肢は「錯誤による意思表示は無効である」——旧法の知識で作られた改変肢です。現行民法では取消し可能——2020年施行の改正で変わった点そのものが的になります。

詐欺と強迫の第三者対抗の入れ替えも定番——「強迫による取消しは善意の第三者に対抗できない」(誤り——対抗できるのが強迫。できないのは詐欺の側)。「落ち度のない強迫被害者が最強」の序列で固定してください。

実務では

取引先との「言った言わない」トラブルで、意思表示の瑕疵が正面から使える場面は実は多くありません——立証が難しいからです。実務の教訓はむしろ予防側にあります——重要な条件は書面・メールに残す、相手の誤解に気づいたら放置しない(悪意擬制の芽)、価格や数量の入力ミスは即時に訂正連絡。民法の枠組みは「揉めたときに何が争点になるか」の地図として携えます。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。心裡留保は原則有効・虚偽表示は無効(善意の第三者に対抗不可)・錯誤は2020年改正で取消しに・詐欺は取消し可能だが善意無過失の第三者に対抗不可・強迫は第三者にも対抗できる——落ち度が小さいほど強く守られる序列です。次は権利の賞味期限——時効へ。