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中小企業経営・政策 / 承継と金融承継
承継と金融 2/4 / 約5分

事業承継税制 — 一般は8割、特例は全部

先代から自社株を相続したら、多額の相続税がかかる——払うために自社株を売れば、経営権そのものを失います。「会社を継がせたいのに、税金が承継を壊す」という矛盾。

これを解くのが事業承継税制——後継者が株を持ち続けて経営する限り、税を猶予(さらに次世代へつなげば実質免除)する仕組みです。常設の一般措置と、期間限定で手厚い特例措置の対比が試験の的です。

この5分の問い

事業承継税制の一般措置と特例措置は、猶予割合・対象株式・後継者の数がどう違うのでしょうか。

直感でつかむ

一般は「8割・3分の2・1人」、特例は「全部・全株・3人まで」です

一般措置(常設)——猶予されるのは贈与税100%・相続税80%、対象は発行済議決権株式の3分の2まで、後継者は1人特例措置(期間限定)——贈与税・相続税とも100%、対象は全株式、後継者は最大3人、雇用確保要件(5年平均8割維持)は実質弾力化(未達でも報告等で猶予継続可)。

相続税側で比べると、一般措置は「3分の2×80%=実質約53%」しかカバーしないのに対し、特例は100%——手厚さの差が歴然です。

承継税制の合言葉一般=贈与100%/相続80%・2/3まで・1人特例=すべて100%・全株式・最大3人
厳密に見る

特例には「計画の提出」と「期限」——2つの時計が動いています

特例措置を使うには、事前に特例承継計画(認定経営革新等支援機関の所見付き)を都道府県に提出する必要があります。この提出期限は当初2026年3月末とされていましたが、令和8年度税制改正で2027年9月30日まで延長されました。一方、特例措置そのものの適用期限(贈与・相続の実行期限)は2027年12月31日のまま——計画の提出期限だけが延び、実行の締切は動いていない、という2つの時計の区別が重要です。

猶予の続きも問われます——後継者が株を持ち経営を続ける限り猶予が続き、次の世代へ承継すれば猶予税額は実質免除。途中で株を売れば猶予は打ち切られ、利子税とともに納付です。

結論が反転する分かれ目
一般
贈与100%・相続80%——2/3まで・1人
常設。相続税は実質約53%のカバー
特例
すべて100%——全株式・最大3人
期間限定。特例承継計画の提出が前提・雇用要件弾力化
分かれ目 80%↔100%・2/3↔全株の対の入れ替えが最頻出。「贈与税は一般でも100%」に注意。
ここで間違える

80%と100%・2/3と全株の入れ替え、そして期限の時点が的です

定番の誤り肢は数値の対の入れ替え——「特例措置の相続税の猶予割合は80%」(特例は100%。80%は一般措置の相続税)・「一般措置は全株式が対象」(一般は3分の2まで)。「一般措置では贈与税も80%」も誤り——贈与税は一般措置でも100%です(80%は相続税だけ)。

期限の時点ズレも的——「特例承継計画の提出期限は2026年3月末で既に終了した」は誤り(2027年9月30日へ延長済み)。逆に「適用期限も延長された」も誤り——実行期限は2027年末のままです。

実務では

診断士の役割は時計の管理人です——特例承継計画は認定支援機関の所見が必須なので、診断士自身が計画づくりの当事者になれます。実務の鉄則は「計画の提出はとりあえず出す」——提出しても特例の利用義務はなく、出さなければ選択肢が消えるだけ。2027年9月30日(提出)と2027年12月31日(実行)の2つの締切を顧問先の年表に書き込むのが、いま最も価値のある一手です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。一般措置は贈与税100%・相続税80%の猶予で対象は議決権株式の3分の2まで・後継者1人、特例措置は贈与・相続とも100%・全株式・最大3人で雇用要件も弾力化——特例には特例承継計画の提出(期限は令和8年度税制改正で2027年9月30日へ延長)が必要で、適用期限(実行)は2027年12月31日のままです。次は、日常の資金繰りを支える仕組み——信用保証とセーフティネットへ。