承継の窓口 — 無料相談から、M&Aの作法まで
「会社は黒字、でも継ぐ人がいない」——概況で見た黒字廃業の入口です。ここに公的な受け皿が整備されています——無料で相談できる窓口と、M&Aの業者の作法を定めたルールです。
誰に相談し、仲介業者をどう見極めるか——支援の地図を1枚にします。
後継者のいない会社は、どこに相談でき、M&Aの支援業者はどう規律されているのでしょうか。
入口は事業承継・引継ぎ支援センター——無料で全類型に対応します
事業承継・引継ぎ支援センターは全国47都道府県に設置された公的な相談窓口で、無料で、親族内承継・従業員(役員)承継・第三者承継(M&A)の全類型に対応します。後継者を探す会社と譲り受けたい会社を引き合わせる、公的なマッチングの入口でもあります。
立て直しの窓口(中小企業活性化協議会)との区別が試験の的です——苦しい会社の再生は活性化協議会、継ぎ手探しは引継ぎ支援センター。
M&Aの作法——ガイドラインと登録制度で業者を規律します
中小企業のM&Aが増えるにつれ、仲介業者とのトラブルも増えました。そこで中小M&Aガイドライン(2020年策定)が仲介者・FA(フィナンシャル・アドバイザー)の行為規範——手数料の透明化・利益相反の防止(売り手と買い手の双方から報酬を得る仲介の構造への手当て)・広告営業の規律——を定め、2024年8月に第3版へ改訂されています(不適切な買い手の排除・経営者保証の扱いの明確化など)。
M&A支援機関登録制度(2021年創設)は、ガイドライン遵守を宣言した支援機関を国が登録する仕組みで、登録機関への手数料だけが事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用枠)の対象になります——補助金を入口に業者の質を誘導する設計です。
窓口の取り違えと、ガイドラインの版の時点が的です
定番の誤り肢は窓口のすり替え——「後継者不在の相談窓口は中小企業活性化協議会である」(継ぎ手探しは引継ぎ支援センター。協議会は経営の立て直し)。「センターの相談は有料」も誤り——無料です。
時点の的——中小M&Aガイドラインは2020年策定・累次改訂で2024年8月に第3版。「2023年の改訂が最新」とする肢は古い(第2版)。M&A支援機関登録制度は2021年創設——年号の入れ替えに注意です。
顧問先の承継相談で診断士が最初にすべきは、類型の仕分けです——親族に候補がいるなら磨き上げと承継税制(次ユニット)、いないなら引継ぎ支援センターに早めに登録する。M&Aを仲介業者に頼むなら「M&A支援機関に登録されていますか」「手数料体系はガイドラインに沿っていますか」の2問が身を守る質問です。着手から成約まで数年かかるのが普通——「まだ早い」が一番危ない、と伝えます。
冒頭の問いに答えます。相談の入口は事業承継・引継ぎ支援センター(47都道府県・無料・親族内/従業員/M&Aの全類型)。M&Aの業者は中小M&Aガイドライン(2020年策定・2024年8月第3版——手数料透明化・利益相反防止)と、M&A支援機関登録制度(2021年・登録機関経由のみ補助金対象)で規律されています。次は、承継の最大の壁——自社株の税金を猶予する事業承継税制へ。