科目合格の戦略 — 免除は権利であって、義務ではない
診断士1次は7科目700点の長丁場です。多忙な社会人にとって、1年で全部はときに無理筋です。そこで制度には救済が組み込まれています。それが科目合格です。落ちた年でも60%取れた科目は、翌年度・翌々年度の受験を免除申請できます。
ただしこの免除は、使い方を間違えると逆に不利になります。ここが戦略の核心です。
科目合格・免除の仕組みはどうなっていて、どう使うのが得なのでしょうか。
合格ラインは2本、総点60%と足切り40%です
まず合格基準(試験案内✅)は総点数の60%以上(7科目700点なら420点)、かつ1科目も満点の40%未満がないことです。総点は平均の勝負なので、得意科目の80点が苦手科目の50点を救えます。1次に落ちても、満点の60%以上だった科目は科目合格となり、翌年度・翌々年度に申請すれば受験免除です(有効は2年分)。
免除の算数。分母が減ると、得意科目の貯金も消えます
ここが核心です。科目を免除すると、その科目は総点の計算から外れます。2科目免除なら残り5科目500点満点で300点(60%)が必要です。つまり得意科目を免除すると、平均を引き上げてくれる貯金源まで消えるのです。たとえば、財務が得意(毎回80点級)な人が財務を免除すると、残る苦手科目だけで全科目60%平均を作らねばならず、かえって苦しくなる。だから「得意科目は科目合格していても、あえて翌年も受け直す」が定石になりえます。免除は権利であって義務ではないからです。
逆に暗記の負担が重い科目・毎年変わる科目(本科目=中小企業経営・政策が典型)は、取れた年に免除で確定させる価値が高いです。「貯金になる科目は残し、負担になる科目は確定させる」が原則です。
「免除で有利になるだけ」という思い込みと、期限切れが的です
受験戦略の落とし穴は3つです。①免除しても足切り(40%)は残る科目に毎年適用されます。②科目合格の免除が使えるのは翌年度・翌々年度まで(=合格年を含め3回のチャンス・実質2年分)。それを超えると失効するので、合格年から数えて3回で決めきる設計が基本です。③1次合格自体の有効も2年(合格年度+翌年度に2次を受験可)。
制度面の最新事項も持ち帰ります。令和8年度から2次試験の口述試験は廃止。1次の電卓は使用不可(筆算が前提。本教材の計算ドリルが割り切れる数字で作られている理由です)。
これはあなた自身への実務接続です。多忙な社会人の定石は「2年計画・4+3」です。1年目に暗記系(経営法務・情報・中小)+得意1科目で科目合格を積み、2年目に理解系(経済・財務・経営・運営)へ集中する。ただし1年目から全科目を受験するのが鉄則です。受けなければ科目合格の可能性もゼロ、そして総点勝負での一発合格の目も残る。免除の判断は2年目の出願時、「その科目は貯金源か、負担か」で決めてください。
冒頭の問いに答えます。合格ラインは総点60%+足切り40%の2本。科目合格(60%)は翌年度・翌々年度の免除を申請できますが、免除すると総点の分母から外れるため、得意科目はあえて受け直して平均の貯金源にするのが定石です。免除は権利であって義務ではありません。暗記負担の重い科目は確定させ、2年で決める設計を。以上で中小企業経営・政策16ユニット、そして診断士7科目の教材が完走です。ここまでの全ユニットが、あなたの420点の部品になります。