小規模企業者 — 20人と5人、もう1段小さい枠
従業員3人の町の八百屋と、従業員90人の食品卸——どちらも「中小企業」ですが、政策の世界では扱いが違います。前者は小規模企業者という、もう1段小さい枠に入るからです。
マル経融資や持続化補助金など、小規模だけが使える支援があるので、この線引きは実利に直結します。
小規模企業者はどう定義され、どんな法律が支えているのでしょうか。
製造業等は20人以下、商業・サービス業は5人以下です
小規模企業者の定義(基本法2条5項)は従業員数だけで見ます——製造業・建設業・運輸業その他=おおむね20人以下、商業(卸売業・小売業)・サービス業=おおむね5人以下。資本金は登場しません。
中小企業の枠の中に、さらに小さな「小規模」の枠が入っている——二重の輪の構造です。日本の企業の約85%はこの内側の輪(小規模企業)にいます(経済センサスベースの目安)。
小規模企業振興基本法——「別枠の政策対象」への格上げです
小規模企業を独立した政策対象として位置づけたのが小規模企業振興基本法(平成26年=2014年制定)です。同法は基本原則として「事業の持続的発展」——大きくならなくても続いていくこと自体の価値——を掲げました。同じ時期の改正で中小企業基本法3条2項にも小規模企業の意義(地域における経済の安定・将来の我が国経済社会の発展への寄与)と、その経営の発展への配慮が明記されています。
政策上の含意——小規模向けの支援(マル経融資・持続化補助金・小規模企業共済)は、この「持続的発展」の思想の実装です。
20人と5人の入れ替えと、「商業」の中身が的です
定番の誤り肢は人数の入れ替え——「サービス業は従業員20人以下が小規模企業者」(正しくは5人以下。20人は製造業等)。商業=卸売業+小売業で、どちらも5人以下——「卸売業は20人以下」も誤りです。
もう1つの的が定義の物差し——「小規模企業者は資本金と従業員数の両方で判定する」は誤り。小規模の判定は従業員数のみです(中小企業者の定義と混ぜさせる肢)。
顧問先が従業員5〜6人の商業・サービス業なら、この線引きは雇い方の判断材料にすらなります——6人目を雇うと小規模企業者の枠を外れ、マル経融資や持続化補助金の入口が変わりうる。逆に製造業なら20人まで枠内です。「うちは小規模に当たりますか」に業種と人数で即答できることが、支援メニュー提案の第一歩になります。
冒頭の問いに答えます。小規模企業者は従業員数のみで判定し、製造業等=おおむね20人以下・商業(卸売+小売)とサービス業=おおむね5人以下。小規模企業振興基本法(2014年)が独立した政策対象へ格上げし、「事業の持続的発展」に価値を置きました。次は、この人たちが日本経済のどれだけを占めるか——概況データへ。