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商法・会社法 1/2 / 約5分

取締役会と株主総会 — 頭数で数える会議と、持株数で数える会議です

会社法だけで条文は約980条あり、範囲は広大です。商法・会社法は5問20点という配点で、満点(5問完答)を狙うには投入時間が見合いません。ここで効くのが、出題者が仕掛ける「数字の入れ替え」と「主体のすり替え」という手口の見抜き方です。この2つのパターンを押さえるだけで、5問全体への波及効果が最も高い投資になります。

この5分の問い

取締役会の決議要件と株主総会の決議要件は、何が根本的に違うのでしょうか。

直感でつかむ

頭数で数える会議と、持株数で数える会議です

取締役会は「1人1票」の頭数で数える会議です。議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数の賛成で決します(369条1項)。株主総会は「持株数に応じた票数」で数える会議です。普通決議は出席議決権の過半数、特別決議は出席議決権の2/3以上(309条2項)——数え方の単位そのものが違います。

数え方の軸取締役会=頭数の過半数・過半数。株主総会の特別決議=議決権の2/3以上。「取締役会の2/3」は作られた誤り。
厳密に見る

決議の種類と、特別利害関係者の扱いが会議体で逆になる点を押さえます

株主総会の決議は3種類です。普通決議(309条1項、議決権の過半数出席・出席議決権の過半数で可決、取締役の選任解任など)。特別決議(309条2項、出席議決権の2/3以上で可決、定款変更・合併・事業譲渡など重要事項)。特殊決議(309条3項、頭数の半数以上かつ議決権の2/3以上)。

取締役会の決議(369条1項)は、議決に加わることができる取締役の過半数出席・過半数賛成という頭数基準です。ここで急所になるのが特別利害関係者の扱いです。取締役会では、特別利害関係を有する取締役は議決に加われず、定足数の分母からも除外されます(369条2項)。一方、株主総会では、特別利害関係を有する株主も議決権を行使できます——ただし、その結果著しく不当な決議がなされたときは、決議取消しの事由になります(831条1項3号)。同じ「特別利害関係者」という言葉が、会議体によって扱いが正反対になる点が最頻出の急所です。

決議の瑕疵は3類型です。決議取消し(831条、招集手続・決議方法の法令違反等、提訴期間は決議の日から3か月以内)。決議無効確認(830条2項、決議の内容が法令に違反、期間制限なし)。決議不存在確認(830条1項、決議の外形自体が存在しない、期間制限なし)。

結論が反転する分かれ目
取締役会
頭数の過半数・過半数(369条1項)
特別利害関係取締役は議決に加われず定足数の分母からも除外
株主総会(特別決議)
議決権の過半数出席・2/3以上(309条2項)
特別利害関係株主も議決権を行使できる(取消事由になりうる)
分かれ目 「頭数か議決権か」「加われないか行使できるか」の2軸で入れ替えトラップを見抜く。
ここで間違える

数字の入れ替えと、特別利害関係者の扱いの取り違えが最頻出です

第一の手口は数字の入れ替えです。「取締役会の決議は、議決権の3分の2以上で行う」は誤りです。取締役会は頭数の過半数・過半数(369条1項)で、2/3は株主総会の特別決議の話です。

第二の手口は特別利害関係者の主体すり替えです。「特別利害関係のある株主は議決権を行使できない」は誤りです。株主総会では特別利害関係株主も議決権を行使できます(著しく不当な決議なら取消事由・831条1項3号)。加われないのは取締役会の特別利害関係取締役です。

第三の手口は決議手続と内容の瑕疵の混同です。「決議内容が適法だが、招集手続に法令違反があった場合は決議無効確認の対象になる」は誤りです。手続的瑕疵は決議取消し(831条)の対象で、決議無効確認は内容の法令違反の場合です。

実務では

「株主総会の招集手続に不備があったのですが、決議は有効ですか」という相談は、瑕疵の種類の見極めから始まります。手続の瑕疵なら取消し(提訴期間3か月)、内容の瑕疵なら無効確認(期間制限なし)という区別が、依頼者に伝えるべき緊急度を決めます。行政書士が会社設立や議事録作成を支援する場面では、取締役会と株主総会の決議要件を条文どおり正確に区別できることが、書類の適法性を担保する土台になります。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

答えです。取締役会は頭数の過半数・過半数、株主総会の特別決議は議決権の2/3以上——数え方の単位が違います。特別利害関係者の扱いも会議体で正反対です。次は、商法・会社法のもう1つの死守ゾーン——監査役・発起人・株券です。