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民法 / 総則総則
総則 5/5 / 約4分

条件と期限 — 「成就まで止まる」のか「成就まで動く」のか

「資格試験に合格したら祝い金を渡す」という約束と、「成績が基準を下回ったら奨学金を止める」という約束は、法律上まったく違う仕組みで動いています。前者はその出来事が起きるまで効力そのものが止まっていて、後者は今すでに有効な効力が、出来事が起きた時点で消えます。この違いを押さえておくと、期限に関する条文もまとめて理解できます。

この5分の問い

「〜したら」という約束には、効力の止まり方が2種類あるのはなぜでしょうか。

直感でつかむ

停止条件は「成就まで止まる」、解除条件は「成就まで動く」のです

停止条件(127条1項)は、条件が成就するまで法律行為の効力そのものが発生しません。合格するまで祝い金を渡す約束に効力はまだありません。解除条件(127条2項)は逆に、成立時からすでに有効で、条件が成就した時点で効力が消えます。奨学金は今すでに支給されていて、成績条件が満たされたときに止まります。

条件の軸停止条件=成就まで効力なし。解除条件=成立時から効力あり、成就で消える。
厳密に見る

不能・不法な条件には、成立を無効にするか条件だけ外すかの2パターンがあります

成就しようのない条件(不能条件)は、それが停止条件なら法律行為全体が無効になり、解除条件なら条件が付いていないもの、つまり無条件で有効として扱われます(133条)。公序良俗に反する条件(不法条件)は、その法律行為自体が無効です(134条)。

期限の利益(136条)は債務者のためにあるものと推定されます——支払いをまだしなくてよい利益です。放棄は自由ですが、相手方の利益を害することはできません。期限の利益は一定の事由で失われます(137条)。破産手続開始の決定を受けたとき(1号)、債務者自身の行為によって担保を滅失・損傷・減少させたとき(2号、この場合は故意・過失を問いません)、担保を提供する義務を履行しないとき(3号)です。

結論が反転する分かれ目
停止条件
効力の発動待ち
成就するまで効力そのものが発生しない(127条1項)
解除条件
効力の消滅待ち
成立時から有効で、成就すると効力が消える(127条2項)
分かれ目 「今、有効かどうか」で見分ける。まだ無効=停止条件、すでに有効=解除条件。
ここで間違える

停止条件と解除条件の効果を入れ替える肢が定番です

第一の手口は効果の入れ替えです。「解除条件付き法律行為は、条件が成就するまで効力を生じない」は誤りです。これは停止条件の説明で、解除条件は成立時から有効です(127条2項)。

第二の手口は喪失事由の主体の混同です。「担保の滅失・損傷・減少による期限の利益の喪失は、その原因を問わず生じる」は不正確です。137条2号が問題にするのは債務者自身の行為による滅失・損傷・減少で、この場合に限り債務者の故意・過失を問いません。

実務では

契約書に「〜したときは」という条項を入れる場面は多く、それが停止条件なのか解除条件なのかを明確にしておかないと、当事者の理解にずれが生じます。契約書作成の実務では、条件が成就したときに「新たに効力が生じる」のか「今ある効力が消える」のかを条文の言葉で書き分けることが、紛争予防の基本動作です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

答えです。停止条件は成就まで効力が止まり、解除条件は成立時から動いていて成就で消えます。総則の骨格がここで一巡しました。次は物権——「言った勝ち」ではなく「登記した勝ち」の対抗問題です。