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民法 / 債権総論債権
債権総論 3/6 / 約5分

保証と連帯保証 — 「まず本人に請求してください」と言えるかどうかです

アパートの連帯保証人になった人が、入居者の何年分もの滞納賃料や損害の賠償を、上限のないまま請求される。そうした事案の積み重ねを受けて、2020年4月施行の民法改正はルールを変えました。個人が継続的な取引の保証人になるときは、責任の上限額の定めがなければ契約自体が無効、という防波堤ができたのです。

このユニットでは保証の骨格を確かめます。見るのは、盾2枚・性質3つ・上限額のルール1つです。

この5分の問い

保証人と連帯保証人は、何がどう違うのでしょうか。

直感でつかむ

普通の保証人は盾を2枚持ち、連帯保証人は1枚も持ちません

債権者からいきなり請求された普通の保証人は、「まず本人に請求してください」(催告の抗弁)、「本人の財産から先に取り立ててください」(検索の抗弁)と言えます。窓口にたとえるなら、保証人は二次対応で、一次対応(主債務者)に回せる立場です。

弁別の軸連帯保証には催告の抗弁も検索の抗弁も分別の利益もない(454条ほか)。主債務者と同列の窓口になる。

「連帯」の2文字が付くと、この盾が両方消えます。さらに保証人が複数いるとき頭数で割った額だけ負えばよいという利益(分別の利益)も、連帯保証人にはありません。債権者から見れば、連帯保証人は主債務者と並んだ取立て先です。

厳密に見る

保証は書面がなければ始まりません

保証人は、主債務者が履行しないときに、その履行をする責任を負います(446条1項)。そして保証契約は、書面でしなければ効力を生じません(446条2項。電磁的記録も書面とみなされます・3項)。口約束の保証は、そもそも無効です。

保証債務には3つの性質があります。主債務が消えれば保証も消え、主債務より重くはならない附従性(448条)。債権が譲渡されれば保証もついていく随伴性。そして主債務者が本命で保証人は控えという補充性——その現れが催告の抗弁(452条。ただし主債務者が破産手続開始決定を受けたとき・行方不明のときは使えません)と検索の抗弁(453条。主債務者に弁済の資力があり、かつ執行が容易であることを証明する必要があります)です。連帯保証はこの補充性を失いますが、附従性は残ります。ここが、各自が独立の債務を負う連帯債務との違いです。

個人根保証のルールも条文で確かめます。一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約(根保証契約)で保証人が個人であるものは、極度額を定めなければ効力を生じません(465条の2第2項)。極度額の定めも書面が必要です(同条3項)。2017年改正で、貸金等に限らず賃貸借の保証を含むすべての個人根保証に広がりました。

結論が反転する分かれ目
普通保証
二次対応の窓口
催告の抗弁(452条)・検索の抗弁(453条)・分別の利益あり
連帯保証
主債務者と同列の窓口
3つとも失う(454条ほか)。ただし附従性は残る
分かれ目 消えるのは補充性まわり。附従性まで消したら連帯債務になってしまう。
ここで間違える

「連帯」の2文字で消えるものと、消えないものを分けてください

第一の手口は盾の残存です。「連帯保証人は、まず主債務者に催告すべき旨を請求できる」は誤りです。催告の抗弁・検索の抗弁とも、連帯保証人にはありません(454条)。

第二の手口は方式です。「保証契約は口頭の合意によっても成立する」は誤りです。書面(または電磁的記録)が効力要件です(446条2項・3項)。

第三の手口は極度額の骨抜きです。「個人根保証契約は、保証する債務の範囲を特定すれば、極度額を定めなくても有効である」は誤りです。極度額の定めがなければ効力を生じません(465条の2第2項)。

逆に消えないものもあります。「連帯保証には附従性がない」は誤りで、主債務が消えれば連帯保証債務も消えます。附従性まで失うのは保証ではなく連帯債務の世界です。

実務では

「賃貸借契約書の保証条項、これで大丈夫ですか」という依頼は、極度額を最初に見ます。個人の連帯保証人を立てる契約書に極度額の記載がなければ、保証条項はまるごと無効になり、貸主は保証をひとつも確保できていないことになります。契約書を作成する側の行政書士にとって、465条の2は「知らないと依頼者に実害が出る」条文の代表格です。極度額をいくらに設定するかの相場観(賃料の何か月分か)まで示せると、助言が具体的になります。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

答えです。違いは盾2枚(催告・検索の抗弁)と分別の利益の有無で、連帯保証はすべて失いますが、附従性は残ります。保証は書面必須、個人根保証は極度額必須。次は、債権そのものが財産として売り買いされる場面——債権譲渡です。